基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

ファンタジー

世界が壊れてゆく──『滅びの鐘』

滅びの鐘作者: 乾石智子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/01/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見る独特のファンタジーを展開し続ける〈オーリエラントの魔道師〉シリーズの乾石智子さんによる最新長篇。ただしシリーズ外の長篇になるので、…

『エルフの血脈』と『ウィッチャー3 ワイルドハント』

ウィッチャー3 ワイルドハント出版社/メーカー: スパイク・チュンソフト発売日: 2015/05/21メディア: Video Gameこの商品を含むブログ (21件) を見るhuyukiitoichi.hatenadiary.jp ↑の記事で僕が今年PS4を買ってからやった大作ゲームの数々について軽く触れ…

プルーデンス女史、印度茶会事件を解決する

プルーデンス女史、印度茶会事件を解決する (続・英国パラソル奇譚)作者: ゲイルキャリガー,sime,川野靖子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/12/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る5作で幕を閉じた英国パラソル奇譚に続く続・英国パラ…

史上最悪の悪党になった男──『エンジェルメイカー』

エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: ニックハーカウェイ,Nick Harkaway,黒原敏行出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/06/04メディア: 新書この商品を含むブログ (9件) を見る文字を読んでいてここまでの興奮が押し寄せることがある…

クビが取れ身体が千切れ飛ぶ──『魔法がいっぱい!』 by ライアン・フランク・ボーム

魔法がいっぱい! (ハヤカワ文庫 FT 36)作者: L.フランク・ボーム,佐竹美保,Lyman Frank Baum,佐藤高子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1981/11/30メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る1981年に出た(書かれたのは1900年ぐらい。1…

いま、目の前で変わりつつある歴史──『双生児』 by クリストファー・プリースト

双生児(上) (ハヤカワ文庫FT)作者: クリストファー・プリースト,古沢嘉通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る双生児(下) (ハヤカワ文庫FT)作者: クリストファー・プリースト,古沢嘉通出版社/メーカ…

ばらばらになった時代と空間を探検せよ──『マップメイカー―ソフィアとガラスの地図』 by S・Eグローヴ

マップメイカー―ソフィアとガラスの地図 (上) (ハヤカワ文庫FT) (ハヤカワ文庫 FT ク 7-1)作者: S・E グローヴ,吉嶺英美出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/07/23メディア: 文庫この商品を含むブログを見るマップメイカー―ソフィアとガラスの地図 (下) (…

ファンタジー×就活──『犬と魔法のファンタジー』 by 田中ロミオ

犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫 た 1-19)作者: 田中ロミオ,えびら出版社/メーカー: 小学館発売日: 2015/07/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る田中ロミオがファンタジーを書くという。かねてよりの田中ロミオファンは誰もが「それが真…

ティアリングの女王 by エリカ・ジョハンセン

跡継ぎの石と呼ばれるネックレスを持ち、人知れず森の奥で歴史学者と元近衛兵に育てられていたが、19歳になった日にティアリング国から近衛兵の迎えがやってくる。今は亡き先代女王の娘、次期の国を率いる女王として──という冒頭の流れだけを見ると「おいお…

忘れられた巨人 by カズオ・イシグロ

なんとも不可解な小説──というのが、一読したあと「なんだったんだろう? もう一回読むか」と読み返している時に湧いて出た感想である。それは単純に「わかりにくい小説」を意味するわけではない。むしろ展開としてはストレートで、もちろん物語のラストなど…

ファンタジーと言葉 (岩波現代文庫) by アーシュラ・K.ル=グウィン

ル・グインが創作についてや図書館のこと、自己紹介から今まで読んできた本などいろいろと語っているエッセイの文庫化。元は2006年に出た単行本だから、ファンは既に読んでいるものと思うが僕は今回文庫化にあたってはじめて読んだ。ル・グインは代表作ゲド…

語り変えてゆく物語──『〈骨牌使い〉の鏡』 by 五代ゆう

本作『〈骨牌使い〉の鏡』は、ファンタジー作家五代ゆうによって書かれた長編小説の復刊というか、再文庫化にあたる。2000年にハードカバーが出版されてその後全三巻で文庫化されたが、それも2006年の事。初めて世に出てからおよそ15年、一度文庫…

有頂天家族 二代目の帰朝 by 森見登美彦

『面白く生きるほかに何もすべきことはない』一行、読み始めたところからああ、この世界に帰ってきたんだと感じる。愛すべき、それぞれ違って阿呆な狸達。前作有頂天家族 (幻冬舎文庫) by 森見登美彦 - 基本読書 から森見登美彦さんも経験を積み重ね、複数の…

クジラの子らは砂上に歌う by 梅田阿比

砂がすべてを覆い尽くす世界、そこにぽつんと浮かび漂流を続ける船”泥クジラ”。その泥クジラには500名ほどの共同体で、サイミアと呼ばれる一種のサイコキネシス能力を持った短命の人々と、サイミアこそ持たないものの寿命が長く組織の運営にあたる人々が…

薫香のカナピウム by 上田早夕里

上田早夕里さんによる短編魚舟・獣舟 - 基本読書を読んだ時に、そのどこでも読んだことがないし、観たことがない異質さと、その異質さがまったく違和感なく自分の中に受け入れられる世界観に驚いたものだった。しかしそうした「異質な存在感」を放っている世…

図書館の魔女 烏の伝言 by 高田大介

図書館の魔女 by 高田大介 - 基本読書 という読書家垂涎の図書館小説の続編。続編というか、内容的には外伝的なものだけれども。著者の高田大介さんは専門が印欧語比較文法・対照言語学とプロ中のプロの研究者でもある。偏執的に言葉とは何なのか、それが人…

黄金時代 by ミハルアイヴァス

これはまたえらいことをやってのけた小説だなあというのが一読しての第一印象。不定形で流れ続ける事象、その運動それ自体を書き留めたかのような話で──といきなり話をはじめても意味がわからないだろうから、多少の前提情報を共有しておこう。本書『黄金時…

鹿の王 by 上橋菜穂子

やはり、ファンタジーとえば王であろう。そう思いませんか? 架空の国をつくりあげて架空の人々、部族の習慣を練り上げて、新しい世界を創造するのがファンタジーだが、架空の国には王がいるものだ。そして架空の国で、好きなように物語を展開させていけるの…

プリティ・モンスターズ by ケリー・リンク

小説を読んでいると完全にキャラクタの心情が掴める、あるいはぐっと身近な物に感じられ家族か何かのように親しみを持つ一文や、その世界そのものへの愛着へとつながるような、「何かが完全に適切なやり方で表現されていることへの感動」を覚える一文という…

RPF レッドドラゴン

TRPGの手法を用いて「最高のフィクション」を生み出すためのシステムなどといって出てきたロールプレイングフィクション(RPF)などというイマイチよくわからないものが最初このレッドドラゴンのウリ文句だった。それってようはTRPGのリプレイってだけでしょ…

旅のラゴス (新潮文庫) by 筒井康隆

単純に筆者の力不足ゆえ内容に触れずにレビューすることが不可能だった為、下記の記述では内容に随分と遠慮なく、結末に至るまで触れています。注意してください。 うまく言葉にできないが、まるでひとつの人生を終えたようだ……というのが読み終えた人間が共…

あかねこの悪魔 by 竹本泉

ゆるゆる。ほのぼの。読書好きが図書館に入り浸って本の世界に入り込んで本浸りのシリーズ。とても心地よい。 六巻で完結。なんと第45回星雲賞候補参考作。かといってばりばりのSFかといえばそんなこともなく、ごくごくゆる〜いファンタジーというのが実態。…

図書室の魔法 by ジョー・ウォルトン

すべての読書家におすすめする作品。 読書家、とりわけ小説読みは多かれ少なかれ孤独なものだ。多く読めば読むほどその傾向は深まっていく。なぜなら楽しいことがたくさんあるこの世界で文字を一人で読んで多くの時間を費やす人間はそう多くはないし、いたと…

世界が終わってしまったあとの世界で by ニック・ハーカウェイ

これはなかなか狂った物語だ。今までの世界が一度終わってしまった世界というわけでも大変な自体なのに、変質した世界は「空想と現実が入り混じった」幻想世界になってしまったのだから。空想と現実が入り交じっているのだからこれまでの常識は通用しない。…

図書館の魔女 by 高田大介

メフィスト賞受賞作。つまりはデビュー作になるが、20年書き続けてきた作家の総決算そしてそこから先へみたいな迫力が感じられる異常な傑作だ。そして何よりも、長い。分厚すぎてもって読むのが大変。外に持ち歩くなんてとんでもないというレンガ本である。…

獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫) by 上橋菜穂子

文庫版にて完結。これにて獣の奏者という物語は本当の意味で閉じた。獣の奏者は、珍しく1つのシリーズについて3つも記事を書いてしまうぐらいに、世界にハマりこんだ作品だった。アニメもやっていたので知っている方も多いかと思われるけれど、本編、ほん…

獣の奏者

先日(といっても二ヶ月ほど前だが)上橋菜穂子さんの『獣の奏者』が講談社文庫として4冊すべて出揃った。素晴らしい表紙で本屋に最初の2冊が並んでいた時から読みたかった。ついにこうして4冊揃い。読んでみたのである。ひとことで言えば、素晴らしいファ…

獣の奏者を読んでなぜファンタジーが好きなのかについて考えた

先日(といっても二ヶ月ほど前だが)上橋菜穂子さんの『獣の奏者』が講談社文庫として4冊すべて出揃った。素晴らしい表紙で本屋に最初の2冊が並んでいた時から読みたかった。ついにこうして4冊揃い。読んでみたのである。ひとことで言えば、素晴らしいファ…

黄金の王 白銀の王

二人は仇同士であった。二人は義兄弟であった。そして、二人は囚われの王と統べる王であった―。翠の国は百数十年、鳳穐と旺厦という二つの氏族が覇権を争い、現在は鳳穐の頭領・〓(ひづち)が治めていた。ある日、〓(ひづち)は幽閉してきた旺厦の頭領・薫衣と…

テンペスト/池上永一

テンペスト 上 若夏の巻作者: 池上永一出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/08/28メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 122回この商品を含むブログ (180件) を見る あらすじ 時は十九世紀。主人公は容姿良し、頭脳良しの完璧超人真鶴。…