基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2023-01-01から1年間の記事一覧

本が刊行されたので「レビューを本業にしようと思いませんか?」などいろんな質問に答える

「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazon はじめに 『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本を3月の頭に出したので、今回はそれに関連してQAでも書こうかと思って募集した質問に答…

暗号解読よりも難しい、古代の言語解読という知的冒険譚!──『ヒエログリフを解け: ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース』

ヒエログリフを解け: ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース作者:エドワード・ドルニック東京創元社Amazonこの『ヒエログリフを解け: ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース』は、古代エジプトの象形文字である…

史上初の三年連続ヒューゴー賞を受賞した、惑星規模のサイエンス・ファンタジー三部作、ついに完結!──『輝石の空』

輝石の空 〈破壊された地球〉三部作 (創元SF文庫)作者:N・K・ジェミシン東京創元社Amazonこの『輝石の空』は、『第五の季節』、『オベリスクの門』に続くサイエンス・ファンタジー《破壊された地球》三部作の完結巻である。なんといっても注目すべきは、歴…

『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』の発売日なので本書ができるまでを振り返る

「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazon僕の初の単著『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』が本日発売。宣伝記事を書きたいのだが、内容紹介に関してはすでにしっかりとした記事を書い…

兼業ライターの苦しみと喜びについて語る

「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazon明日3月1日に『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という僕の初の単著が出るのだけど、これをPRするために(すでに書いた内容紹介文とはべつに…

『元年春之祭』の陸秋槎による、今年ベスト級のSF短篇集──『ガーンズバック変換』

ガーンズバック変換作者:陸 秋槎早川書房Amazon『ガーンズバック変換』は『元年春之祭』や『雪が白いとき、かつそのときに限り』、『文学少女対数学少女』といった、ミステリ系の著作で知られる陸秋槎による初のSF短篇集である。陸秋槎は北京出身だが、そ…

ばかげた質問を突き詰めて考えることで、真剣な科学について楽しく学べる一冊──『もっとホワット・イフ?: 地球の1日が1秒になったらどうなるか』

もっとホワット・イフ? 地球の1日が1秒になったらどうなるか作者:ランドール マンロー早川書房Amazonこの『もっとホワット・イフ?』は、インターネット漫画家である著者の漫画をまとめたもの。数あるインターネット漫画の中でも本作の特徴は、著者ランド…

『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本を刊行します。

「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazonこのブログ「基本読書」を書いている冬木糸一です。3月1日に、『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本をダイヤモンド社から刊行すること…

習慣はどうやって形成されるのか?──『習慣と脳の科学――どうしても変えられないのはどうしてか』

習慣と脳の科学――どうしても変えられないのはどうしてかみすず書房Amazonいつも通勤や通学につかっている道は、何も考えずにも動けるぐらいには「習慣」になっているものだ。むしろいつものルートとは別の方角に行く必要がある時、そのことを忘れて「習慣」…

戯言シリーズ、正統続篇は不安を消して、期待を超えてくるおもしろさだ!──『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘』

キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘 (講談社ノベルス)作者:西尾維新講談社Amazonこの『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘』は『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』から始まる西尾維新の代表作《戯言》シリーズの正統的な続…

われわれの行動を光でどこまで制御できるのか──『「こころ」はどうやって壊れるのか~最新「光遺伝学」と人間の脳の物語~』

「こころ」はどうやって壊れるのか ~最新「光遺伝学」と人間の脳の物語作者:カール・ダイセロス光文社Amazonこの『「こころ」はどうやって壊れるのか』は、精神科医として現場に立ちながら、光を用いることで脳の活動を観測や制御を可能にする、「光遺伝学…

歴史上の偉大な作家らが高等知的生命体によって蘇り、創作の、読むことの本質に迫る、第10回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作──『標本作家』

標本作家作者:小川 楽喜早川書房Amazonこの『標本作家』は、ハヤカワSFコンテスト、その第10回目の大賞受賞作である。著者の小川楽喜は元グループSNE所属で既刊も存在する作家だが、今回は新人賞であるSFコンテストに作品を応募し、一次選考からはじめて見事…

なぜ一見何の利益もない嫌がらせ行為を行う人間が存在するのか?──『悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?』

悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?作者:サイモン・マッカーシー=ジョーンズインターシフトAmazon最近、仕事中のほとんどの時間は何らかのゲーム配信(最近はLeague of Legends)を垂れ流していることが多い。人気のストリーマー…

世界を決定的に変えてしまう技術や出来事が描かれるSF短篇が集まったアンソロジー──『フォワード 未来を視る6つのSF』

フォワード 未来を視る6つのSF (ハヤカワ文庫SF)作者:ブレイク クラウチ,ベロニカ ロス,N K ジェミシン,エイモア トールズ,ポール トレンブレイ,アンディ ウィアー早川書房Amazonこの『フォワード 未来を視る6つのSF』は、アンディ・ウィアー、N・K…

柔軟に変化していく、生物のような言語について──『言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―』

言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―作者:モーテン・H・クリスチャンセン,ニック・チェイター新潮社Amazonこの『言語はこうして生まれる』は、その書名通りに言語がどのようにして生まれたのか。そして、一度生まれた言語はどのよう…

宇宙生物学の研究者の父親とADHDやアスペルガーだと診断された息子が織りなす、多様な個性と惑星についての物語──『惑う星』

SF

惑う星作者:リチャード・パワーズ新潮社Amazonこの『惑う星』は、『舞踏会へ向かう三人の農夫』、『われらが歌う時』などでしられるリチャード・パワーズの最新作だ。近年、パワーズの著作は、危機に瀕した地球の生態系を救うために動き出した、特異な才能を…

所有は人を幸福にするか?──『人はなぜ物を欲しがるのか:私たちを支配する「所有」という概念』

人はなぜ物を欲しがるのか:私たちを支配する「所有」という概念作者:ブルース・フッド白揚社Amazon人間にとって「所有」とは重要な概念だ。何一つ持たずに暮らしている人などそうそういるはずもないし、年末年始には毎年何を買って(所有して)良かったのか…

2022年のおもしろかった本などを振り返る

ぼんやりしてたら2022年が終わってしまったが、振り返らないよりはマシだと信じて今からおもしろかった本など振り返ろう。今年もアニメ、小説、ノンフィクション、ゲーム……あらゆる媒体でおもしろい作品がいっぱいあった。そのすべてを取り上げることは不可…