2023-01-01から1年間の記事一覧
怪獣保護協会作者:ジョン スコルジー早川書房Amazonこの『怪獣保護協会』は、『老人と宇宙』など数多のSF作品・シリーズで知られるジョン・スコルジーの最新邦訳長篇である。スコルジーはもともとSF愛好家であり、作品にもSF小説・映画・アニメネタが(時と…
今度8月6日に埼玉で行われるSF大会の一企画で、「SF入門書で「SF再入門」」という企画を牧眞司さん、池澤春菜さんと僕の三人で行う予定なのだけど、このイベント前に一度「自分はそもそもどうやってSFに入門したんだっけ?」を振り返っておこうと思った。そ…
イラク水滸伝 (文春e-book)作者:高野 秀行文藝春秋Amazonこの『イラク水滸伝』は、『独立国家ソマリランド』などで知られるノンフィクション作家・高野秀行の最新作だ。間にコロナ禍を挟んだこともあって取材・執筆に6年がかかったという大作で、事前の期待…
KEIRIN: 車輪の上のサムライ・ワールド作者:ジャスティン・マッカリー早川書房Amazonこの『KEIRIN: 車輪の上のサムライ・ワールド』は、英国人記者が語る日本の競輪論である。日本でどのように競輪が生まれ、育ち、危機を乗り越え、そして日本ならではの独特…
科学でかなえる世界征服作者:ライアン ノース早川書房Amazonこの『科学でかなえる世界征服』は、『ゼロからつくる科学文明 タイムトラベラーのためのサバイバルガイド』などで知られるライアン・ノースの最新作だ。前作(『ゼロからつくる科学文明』)は、も…
ロボット・アップライジング AIロボット反乱SF傑作選 (創元SF文庫)作者:スコット・シグラー,チャールズ・ユウ,ヒュー・ハウイー,アーネスト・クライン,コリイ・ドクトロウ,ジュリアナ・バゴット,アレステア・レナルズ,イアン・マクドナルド,ロビン・ワッサー…
ゴースト・ワーク作者:メアリー・L・グレイ,シッダールタ・スリ晶文社Amazon『ゴースト・ワーク』とまるでホラー小説のような書名だが、ノンフィクションである。「ゴースト・ワーク」とは本書の造語で、人工知能やウェブサイトの動作を支えている、見えづら…
「生きている」とはどういうことか:生命の境界領域に挑む科学者たち作者:カール・ジンマー白揚社Amazon「生きているものといないもの」を見分けるのは、直感的には簡単に思える。たとえば、人間や犬が生きていること、石のような無機物が生きていないことに…
人間がいなくなった後の自然作者:カル・フリン草思社Amazonこの『人間がいなくなった後の自然』は、作家・ジャーナリストのカル・フリンが、原子炉事故や薬物汚染、地雷原に紛争に──と、数々の理由によって人間に打ち捨てられた地を訪れ、そこでどのように自…
早川書房の2700作品が最大50%割引という電子書籍セールが来たので、僕が読了済みのものからオススメを紹介しよう。早川書房は定期的にこの規模のセールをやることで知られているが、そのたびにラインナップが異なる。特に、前回のセール時には対象ではなか…
蒸気駆動の男: 朝鮮王朝スチームパンク年代記 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5060)作者:イ・ソヨン,チョン・ミョンソプ,パク・エジン,キム・イファン,パク・ハル早川書房Amazonこの『蒸気駆動の男』は、飲み会に居合わせた5人の韓国人作家がその場で盛り上がっ…
アイスピックを握る外科医 背徳、殺人、詐欺を行う卑劣な科学者作者:サム キーン柏書房Amazonこの『アイスピックを握る外科医』は、墓泥棒から動物の虐待まで、主に科学的探求や功名心から悪徳に手を染めてきた科学者たちのエピソードをまとめた一冊である。…
意識をゆさぶる植物──アヘン・カフェイン・メスカリンの可能性 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズⅣ)作者:マイケル・ポーラン亜紀書房Amazonこの『意識をゆさぶる植物』は『幻覚剤は役に立つのか』などで知られる作家マイケル・ポーランの最新作で、副…
どれほど似ているか作者:キム・ボヨン河出書房新社Amazonこの『どれほど似ているか』は韓国の作家キム・ボヨンのSF短篇集である。「文藝」に掲載されたされた「赤ずきんのお嬢さん」や「SFマガジン」に掲載された「0と1の間」など断片的に作品が紹介されてき…
鋼鉄紅女 (ハヤカワ文庫SF)作者:シーラン ジェイ ジャオ早川書房Amazonこの『鋼鉄紅女』は中国出身で幼少期にカナダに移住した作家・ユーチューバーのシーラン・ジェイ・ジャオのデビュー長篇である(21年刊)。タイトルにも入れたが、TRIGGER&A-1制作によ…
人類の知らない言葉 (創元SF文庫)作者:エディ・ロブソン東京創元社Amazonこの『人類の知らない言葉』はイギリスの作家にして〈ドクター・フー〉などの脚本も手掛けるエディ・ロブソンによる、2022年に刊行されたSFミステリ長篇だ。近未来、テレパシー(思念…
独裁者の料理人:厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓作者:ヴィトルト・シャブウォフスキ白水社Amazonこの『独裁者の料理人』は、その書名通りの一冊である。カンボジアのポル・ポト。イラクのサダム・フセイン。ウガンダの大統領イディ・アミン。アルバニアの…
眠りつづける少女たち――脳神経科医は〈謎の病〉を調査する旅に出た作者:スザンヌ・オサリバン紀伊國屋書店Amazonスウェーデンには「あきらめ症候群」などと称される、特殊な病が存在する。この症状があらわれると、歩いたり話したりをやめ、場合によっては目…
ギリシャSF傑作選 ノヴァ・ヘラス (竹書房文庫 ば 3-1)作者:ヴァッソ・クリストウ竹書房Amazonこの『ギリシャSF傑作選』はその名のとおり、ギリシャのSF短篇が集められたアンソロジーである。版元は竹書房。流れ的にはイスラエルSF傑作選『シオンズ・フィク…
創元SF文庫が創刊60周年ということで、創元SF文庫総解説などいろいろな企画が動いている。その流れのひとつで、ゴールデンウィークに合わせて創元SF文庫作品が中心にKindleで50%オフセールがはじまっているので、今回は僕の個人的なオススメを中心に紹介し…
鏖戦【おうせん】/凍月【いてづき】作者:グレッグ・ベア早川書房Amazonこの『鏖戦/凍月』はハードSFの巨匠にして『ブラッド・ミュージック』などの著作で知られるグレッグ・ベアの代表的中篇二つをまとめた一冊になる。グレッグ・ベアは1951年生まれの作家で…
英語は10000時間でモノになる ~ハードワークで挫折しない「日本語断ち」の実践法~作者:橋本 大也技術評論社Amazonこの『英語は10000時間でモノになる』は、長年「情報考学」というサイトで書評を書いていた橋本大也さんによる英語学習本である。英語学習本…
4/21『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』刊行記念オンライン対談 冬木糸一さん×『SFマガジン』編集長溝口力丸さんonline.maruzenjunkudo.co.jp 来週4月21日にオンライントークイベントやりますという告知をしておきます。相手はSFマガ…
文明交錯 (海外文学セレクション)作者:ローラン・ビネ東京創元社Amazonこの『文明交錯』は、スペインがインカ帝国を征服した史実を反転させ、逆にインカ帝国がスペインを征服していたら世界はどう変わっていったのかを描き出す歴史改変長篇だ。著者は『HHhH―…
会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか (文春e-book)作者:ニック・エンフィールド文藝春秋Amazon本書『会話の科学』は、会話全般に光をあて、そこにどのようなルールや傾向があるかを分析していく一冊だ。我々は会話をしている時、無意識的にそ…
アメリカへようこそ (角川書店単行本)作者:マシュー・ベイカー,田内 志文KADOKAWAAmazonこの『アメリカへようこそ』はアメリカの新進作家マシュー・ベイカーの初の短篇集の邦訳である。どうやらアメリカでは「注目すべきストーリーテラー10人」に選ばれるな…
アトラス6 上 (ハヤカワ文庫FT)作者:オリヴィー ブレイク早川書房Amazonこの『アトラス6』は著者オリヴィー・ブレイクがロースクール在学中にセルフパブリッシングで刊行したのち、爆発的に人気が出てAmazonPrimeでのドラマ化も決定している話題のファンタ…
ラヴクラフト・カントリー (創元推理文庫)作者:マット・ラフ東京創元社Amazonこの『ラヴクラフト・カントリー』はファンタジーや幻想系の作品で知られるマット・ラフによるホラー・幻想の連作短篇集となる。まだ黒人差別が色濃く残る1950年代を舞台に、黒人…
相分離生物学の冒険――分子の「あいだ」に生命は宿る作者:白木賢太郎みすず書房Amazonこの『相分離生物学の冒険』は、米国の学会では2018年からよく取り上げられるようになってきた、最新の生物学分野の研究テーマである「相分離生物学」について書かれた一般…
人類滅亡の科学 「滅びのシナリオ」と「回避する方法」作者:マーシャル・ブレイン日経ナショナル ジオグラフィックAmazonこの『人類滅亡の科学』はその署名通りに、人類の滅亡のパターンをリストアップし、それに対してどのように滅びうるのかという「滅びの…