基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2012-01-01から1年間の記事一覧

「もしドラ」はなぜ売れたのか?を読んでいて思ったこと

「もしドラ」はなぜ売れたのか?というタイトルで『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』が売れた理由を著者の岩崎夏海さんが自身のブログで解説している。メルマガとはいっても連載形式で、これが面白いのだ。他の記…

『ヱヴァンゲリオン新劇場版:Q』ネタバレ

感想を特に書くつもりもなかったのだけど⇒間違いない。エヴァだ――『ヱヴァンゲリオン新劇場版:Q』(ネタバレ) - シロクマの屑籠ここで『『まごころを、君に』をリアルタイムには体験していない若い人達が、この、問題作の呈をなしてきたエヴァンゲリオンを…

死を受け入れるまでの五段階は死だけではなくもう少し広く人間の行動に当てはまるのではないか

という思いつき。その前に前提条件として死を受け入れる五段階とは何なのか。それについては一度書いたことがある⇒死を受け入れるまでの第五段階 - 基本読書。もう二年も前の記事かあ。クリックするのも面倒くさい人に簡単に説明すれば『死ぬ瞬間―死とその過…

ブノワ・ペータース『闇の国々 (ShoPro Books)』

ベルギーやフランスを中心にした漫画のことをバンド・デシネと呼ぶのですが、この闇の国々もまたそうしたBDのひとつです。正直僕も本格的なものを読むのはこれが初めてであり、何ら偉そうなことを語る知識が、まるっきりありませぬ。傾向さえもよくわからな…

科学の存在理由、科学の目標とは

有名な書評ブロガーの小飼弾さんはだいぶまえに⇒404 Blog Not Found:ほんと馬鹿 - 書評 - 科学的とはどういう意味かこの記事の中で森博嗣さんの『科学的とはどういう意味か』の最後の方に書かれた「科学の存在理由。科学の目標とは、人間の幸せである。」な…

ルイス・キャロル『不思議の国のアリス (新潮文庫)』

ストーリーをだいたい覚えていたので読んだことがあるのかと思っていたが、そうかディズニーのアニメで知っていただけか。僕はあのアニメ、たぶん小さい時に観たんだけど、とっても怖かったんですよね。もう、どの場面も恐怖の思い出とセットで記憶に格納さ…

本をたくさん読んでもまったく偉くならないし、凄くなるわけでもないし、金が稼げるわけでもない。

なぜか本を読んでいる人間が偉い。凄い。凄いやつになる。という言質が蔓延してると思いません? 1000冊読むと教養が〜とか本を読むことが強みに〜なんて。僕なんか3000冊は今までに読んでいますが まったく偉くないし、凄いことやってるわけでもな…

鈴木大拙『禅と日本文化 (岩波新書)』

外国人向けに、禅を通して日本文化を紹介しようとした本が、翻訳されて日本に逆輸入された形になる。同じ禅を扱った本といえば『茶の本』もある。茶の本も何故か外国へ向けて輸出されたものが日本に翻訳されて帰ってきた本だった。不思議ではあるが、高度成…

プラトン『饗宴 (岩波文庫)』

初プラトン。原題はシュンポシオンといい「一緒に飲む」というほどの意味とか。プラトンは名前とソクラテスファンであってソクラテスのことをいっぱい書いた最初の同人作家という認識だったのだが、この饗宴などを読むにむしろソクラテスを出しに自分自身の…

レオナルド・ダ・ヴィンチの手記

レオナルドが書いたモナリザはヘタしたらレオナルド・ダ・ヴィンチよりたくさん色々な媒体にでているかもしれない。万能の天才と呼ばれるレオナルド・ダ・ヴィンチだが、彼がいったいどんな人間でどんな発想をしていて何を考えていたのかを知ることは今まで…

自由論 (光文社古典新訳文庫)

タグに古典を読むシリーズをつけました。森博嗣作品には結構な割合で各章冒頭に引用がされているのですが、その引用本をちまちまと読んでいこうという心づもりです。まあ、その流れで気になったものがあれば派生で読んでいこうかなってところで。けっこうみ…

ジグβは神ですか

森博嗣先生の小説、Gシリーズの第八話だったかな。Kindleストアに森博嗣本がいっぱいあるので、最近片っ端から読み直しているのですが、順番関係なく読めるのであまり関係ありません。説明も、ちゃんと人間関係が一から語られるので、これが森博嗣初体験でも…

新しい市場のつくりかた

これはおもしろい。iPhoneも、Kindleのような電子書籍事業も、Facebookも、つまるところ新しい市場を日本は作ってこれなかったわけですが(もちろん国内向けは別として)それはなぜなのか、新しい市場を作るにはどうしたらいいのかを分析した本になっています…

自殺について 他四篇

古典を詠む。『自殺について』と表題にもついているぐらいなので、さぞや凄まじい理論か理屈が展開されるであろうと思っていたのだが、実際書かれているのは10ページほどの短い話であった。内容も大半はキリスト教が自殺を悪いものと考えることに対する考…

本にだって雄と雌があります

出落ち本の風格がたっぷりなタイトル。実際読み始めてしばらくは「うむやはりこれは出落ち本であるなあ」と思っていた。本にだって雄と雌があるとくれば当然本は交尾をするという話になり、そしたら相性のいい本の間には子どもが生まれるであろう。この物語…

インプットとアウトプットについて

メモ書き程度。ブログを書くようになって時間をそこにとられるようになる。だから本を読む時間がその分減っていくかといえばそんなことはなかったという経験がある。むしろ僕の場合は、ブログを書くようになってから本を読む量が増えた。それもたくさん書け…

真賀田四季の天才性について

最近Kindleストアがオープンしたので、iPhoneで森博嗣本を手当たり次第に再読しているのだが、改めて読んだ四季がやっぱりすごかった。さまざまな作品に境界を飛び越えて登場する四季と、その支配力からキャラクタとして卓越しているのは既シリーズ読者には…

ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣

つい最近こんな記事を書いた。⇒効率的に資格をとる為のたったひとつの冴えたやりかた - 基本読書 このたったひとつの冴えたやりかたが何かといえば、コツコツと勉強することだ(笑)。しかし何を隠そう(隠すまでもなく)コツコツ勉強するというのが一番難しい。…

それでも、読書をやめない理由

『それでも、読書をやめない理由』を読んだ。それでも、とはどういう意味だろうか。これは本の虫であった著者が、テクノロジーがもたらすノイズによって、突然本に集中することが難しくなったことからきている。そんな風に集中することができなくなっても、…

『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』:前著である『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』より経済に与える影響を考える上では重要

『ロングテール』『フリー』とたて続けに時代を象徴するような本を出してきたクリス・アンダーソンの新刊『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』をさっそく読みました。フリーが割と虚仮威しの内容だったこともあってそこまで期待していなかったんですけど、予…

「やっていて楽しいこと」に気付くためには適当に生きるのが良い

世の中には「書く」ことが好きで好きでしようがないブロガーがいる - シロクマの屑籠この記事を読むと、基本的には言及とかしないんですけど、これだけ何の利もない文章を書き続けている身からすればいろいろ思うところなどもあるのです。どういうことを考え…

平田オリザさんの『わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か』と押井守さんの『コミュニケーションは、要らない』を読んでコミュニケーションについて考えた

最近コミュニケーション能力がうんたらかんたらー! と叫ばれているがコミュニケーションという言葉には意味がいっぱい含まれていて「コミュニケーション能力を企業が重視している」とだけ書かれても読む方も書く方も絶対「なんのこっちゃ」って思っている。…

簡素な台詞にのる物語的な重さについて

『……見ていて、ジェシ』上の簡素な台詞は『獣の奏者』という物語の終盤に出てくる。主人公であるエリンの台詞だ。僕はこの全4巻のそれなりに長い物語を通してこの台詞が一番好きだ。名言だと思う。しかし、この物語を読んだことがない人はこれがなぜ名言な…

獣の奏者

先日(といっても二ヶ月ほど前だが)上橋菜穂子さんの『獣の奏者』が講談社文庫として4冊すべて出揃った。素晴らしい表紙で本屋に最初の2冊が並んでいた時から読みたかった。ついにこうして4冊揃い。読んでみたのである。ひとことで言えば、素晴らしいファ…

獣の奏者を読んでなぜファンタジーが好きなのかについて考えた

先日(といっても二ヶ月ほど前だが)上橋菜穂子さんの『獣の奏者』が講談社文庫として4冊すべて出揃った。素晴らしい表紙で本屋に最初の2冊が並んでいた時から読みたかった。ついにこうして4冊揃い。読んでみたのである。ひとことで言えば、素晴らしいファ…

松丸本舗主義 奇蹟の本屋、3年間の挑戦。

一度だけ松丸本舗に行ったことがある。たしかオープンした直後ぐらいだった。人の頭の中にいるよう、本が様々な形態で並んでいて、たのしかった。本には文脈があるというのは本書で何度も語られることだが、まさにその文脈が見える形で提示されていたので衝…

「リスク」の食べ方: 食の安全・安心を考える

岩田健太郎さん著。感染症の専門家で新書を何冊か出している。考え方が現場主義で役に立つので毎回出ていると買ってしまいます。今回は専門の感染症から、食べもののリスク……もっと抽象的にしてリスクとの向き合い方についての考え方の本。ただまあ構成的に…

創造力なき日本 アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」

『創造力なき日本 アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」』村上隆著。村上隆さんといえば僕のイメージでは「なんかフィギュアが億単位で売れた人」程度かなかったのですけど、この本を読んでイメージがクリアになりました。アート、それも現代美術などという…

限界集落の真実: 過疎の村は消えるか?

うーん結局なにが言いたいのかよくわからない本だったなあ。もちろん言っていることはひとつひとつ理解できるんだけど。実感が何一つとしてわかない。東京に産まれて東京で成長して今も東京にいるから、周辺とか村がどうたらっていう内容がまったくもってフ…

BEATLESS

『BEATLESS』を読んだ。円環少女やあなたのための物語といった、ライトノベルとSF、ジャンルを超えて活躍している長谷敏司さんの最新作だ。僕が長谷敏司さんの作品で読んだことがあるのは例にあげた2作品のみだが、どちらも技巧的かつ、エンターテイメン…