2021-01-01から1年間の記事一覧
クララとお日さま作者:カズオ イシグロ発売日: 2021/03/02メディア: Kindle版この『クララとお日さま』は、カズオ・イシグロが2017年にノーベル文学賞を受賞してからはじめての著作となる。原題は『clara and the sun』だが、「太陽」ではなく「お日さま」な…
統計外事態 (ハヤカワ文庫JA)作者:芝村 裕吏発売日: 2021/02/17メディア: Kindle版この『統計外事態』は、ガンパレや刀剣乱舞のゲームデザインやシナリオで有名な芝村裕吏の最新のSFである。芝村裕吏は近年ゲームデザイナー・シナリオライター以外にも多数の…
アニメーションの女王たち ディズニーの世界を変えた女性たちの知られざる物語作者:ナサリア・ホルト発売日: 2021/02/26メディア: 単行本(ソフトカバー) この『アニメーションの女王たち』は、ディズニー・アニメーションの中で、アートに脚本にと活躍して…
人は簡単には騙されない: 嘘と信用の認知科学作者:ヒューゴ・メルシエ発売日: 2021/02/25メディア: 単行本世界にはプロパガンダにフェイクニュース、根も葉もない噂の蔓延が起こっていて、ほとんどの大衆はそうした「誰かの行動を操りたい人たちによって放た…
テスカトリポカ (角川書店単行本)作者:佐藤 究発売日: 2021/02/19メディア: Kindle版この『テスカトリポカ』は作家・佐藤究の『Ank:a mirroring ape』以来約3年半ぶりの長篇作品。著者がデビュー作『QJKJQ』、『Ank』で打ち立てた高い評判は知っていたんだけ…
蒸気と錬金 Stealchemy Fairytale (ハヤカワ文庫JA)作者:花田 一三六発売日: 2021/02/17メディア: Kindle版この『蒸気と錬金』は、『戦塵外史』や『黎明の双星』の花田一三六、約10年ぶりの新刊となる。小説家としてはけっこうなブランク明けの仕事というこ…
家は生態系―あなたは20万種の生き物と暮らしている作者:ロブ・ダン発売日: 2021/02/19メディア: 単行本家には時折ゴキブリやクモなどの外部の生物が紛れ込んでくることがあるとはいえ、そうそういつも見かけるものではない。大抵の場合、家には自分とその家…
ヴィクトリア朝医療の歴史:外科医ジョゼフ・リスターと歴史を変えた治療法作者:リンジー・フィッツハリス発売日: 2021/01/23メディア: 単行本この『ヴィクトリア朝医療の歴史』はその名の通りの一冊なのだけれども、「ヴィクトリア朝」は、医療史を少しかじ…
最近もいろいろ読んでいるけれど、紹介したいけどうまい感じの切り口が思いつかなかったり、おもしろいけど様々な理由で取り上げにくい本がたまってきたのでいったんそいつらを紹介してみようと思う。普段ブログには小説でもノンフィクションでも、5〜6冊読…
絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの作者:アン・ケース,アンガス・ディートン発売日: 2021/01/18メディア: Kindle版アメリカでは今、絶望死が増えている。絶望死とは、アルコールや薬物依存による死亡、自殺の死因をまとめたもので、45歳から54歳の…
まえがき 本の雑誌2020年10月号掲載の原稿を転載します。『ブルシット・ジョブ』に『言語の起源』にと大作目白押し。『「役に立たない」科学が役に立つ』も短い本ながらも現代においては重要な観点を持っている本で短くもずっしりと重い。完全に個人的な趣味…
映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術作者:スティーヴ・ハルフィッシュ発売日: 2021/01/21メディア: 単行本『映像編集の技法』は映像編集技師であるスティーヴ・ハルフィッシュが、スターウォーズにシビル・ウォーなど大作映画から『ブレイキ…
文章の元はIGN japanに『サイバーパンク2077』発売直前に寄稿した原稿だが、今はもうゲームも出ているので、それを踏まえた内容に全面的に加筆修正している。【PS4】サイバーパンク2077発売日: 2020/12/10メディア: Video Gameもうすぐ全世界待望のゲーム『…
中国・アメリカ 謎SF発売日: 2021/01/30メディア: 単行本(ソフトカバー)この『中国・アメリカ 謎SF』は書名からして謎だが、柴田元幸と小島敬太の編訳者二人が、日本でほとんど翻訳されていない作家の作品をそれぞれアメリカと中国から持ちよったSFアン…
人之彼岸【ひとのひがん】 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:郝 景芳発売日: 2021/01/21メディア: Kindle版この『人之彼岸』は、「折りたたみ北京」を筆頭に中国のみならず世界で高い評価を受けているSF作家郝景芳(ハオジンファン)のAIテーマを中心に集め…
脚本の科学 認知と知覚のプロセスから理解する映画と脚本のしくみ作者:ポール・ジョセフ・ガリーノ,コニー・シアーズ発売日: 2021/01/26メディア: 単行本先日認知科学の観点からみた、最強の英語の勉強法について書かれた『英語独習法』の記事を書いたばかり…
英語独習法 (岩波新書 新赤版 1860)作者:今井 むつみ発売日: 2020/12/19メディア: 新書この『英語独習法』は、認知科学や発達心理学を専門とする今井むつみによる、認知科学の観点から考えた最強の英語学習について書かれた一冊である。『「わかりやすく教え…
患者の話は医師にどう聞こえるのか――診察室のすれちがいを科学する作者:ダニエル・オーフリ発売日: 2020/11/10メディア: Kindle版病気を患っている時、患者側の知識と、診療する医師の知識量と立場は異なっているのが当然だ。医師は膨大な知識を持っていて、…
最近家の本の電子書籍化に着手している。もともと僕は本は大量に買うが、それをいつまでもとっておくのではなく、定期的に売るか捨てるかしていた。理由は単純で、家が狭く、引っ越しが多いからだ。転職も多く、乗り物酔いがひどく、電車に乗っただけで吐き…
カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話作者:メアリ ノリス発売日: 2020/12/29メディア: 単行本(ソフトカバー)校正とは、印刷物などの文章が正しいのか(誤字脱字が存在しないか、文法的に正しいのか、事実に反する内容はないかなど(こちらは…
まえがき 本の雑誌2020年8月号掲載の原稿を転載します。原稿にも書いたが、今回は大作揃い。特に『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史』は上下巻でアホみたいに文字が詰まっていてページ数も多くて読むのがゲロ大変だった。おもしろいからいいんだけどね……。『…
2016年の週刊文春作者:柳澤 健発売日: 2020/12/15メディア: Kindle版スクープを連発する日本一の週刊誌「週刊文春」と、その中でも二大編集長である花田紀凱と新谷学を中心に取り上げた文藝春秋闘争記である。僕は特集が気になった月刊文藝春秋を読むぐらい…
ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ)作者:東浩紀発売日: 2020/12/11メディア: Kindle版この『ゲンロン戦記』は、ゲンロンという、SF作家養成や批評家養成スクールを開いたり、批評家や作家や哲学者らの対談イベントを自前のカフェで開いた…
アンソロジーが記憶に残った年 今年を振り返って記憶に残ったのは、やはり10年という区切りの年だったこともあってか優れたアンソロジーが多数刊行されたこと。たとえば、『なめらかな世界と、その敵』の伴名練が編者に入った『2010年代SF傑作選1・2』(大森…
裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)作者:宮澤 伊織発売日: 2017/02/28メディア: Kindle版宮澤伊織『裏世界ピクニック』が、アニメ化を記念して先月出たばかりの5巻を除いて電子書籍ストアで半額セール中なのでオススメしておこう。…
空気と人類 ―いかに〈気体〉を発見し、手なずけてきたか作者:サム・キーン発売日: 2020/12/17メディア: 単行本この『空気と人類』は、『スプーンと元素周期表』など様々な化学/科学系のトピックスを扱ってきた作家サム・キーンによる、気体についてのノンフ…
なんとなく、一度僕の書評・感想記事の書き方についてまとめておこうかと思った。先日下記のようなブログに関する記事を寄稿したところ、幾人かがこれに触発されてブログを書いてくれたようで、個人的に嬉しかったから、というのが大きい。 blog.hatenablog.…
囚われし者たちの国──世界の刑務所に正義を訪ねて作者:バズ・ドライシンガー発売日: 2020/12/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この『囚われし者たちの国』は、刑事司法教育を教える大学ジョン・ジェイ・カレッジ・オブ・クリミナル・ジャスティスの女性教…