基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

その他のノンフィクション

持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない by pha

このような人生論的な本は、自分としてはほぼそのコアの部分について考えを決めていることもあってあまり読むことはない。結局のところ自分の幸せは自分の幸せであって、人が語る人生論をそのまま受け入れられるわけではないから、うまいこと自分に適合しそ…

S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ by レム・コールハース

普段、線をぐりぐりと引きながら本を読む。あとで引用しようと思うぐっときた部分に、結論部分に、問題提起の部分に。概ねあとから読み返した時に、そこを起点として他の細部をずるずると思い出せるように引いている。というわけで、本書もいつもと同じよう…

3652: 伊坂幸太郎エッセイ集 (新潮文庫) by 伊坂幸太郎

伊坂幸太郎のエッセイ集。五年前に出た単行本の文庫落ちで、その五年の間に書かれたものも収録されているからこっちが完全版ということになる。あと伊坂幸太郎さんへのインタビューを注として入れたものがけっこうたくさん入っているので、それをちまちまと…

ミステリ編集道 by 新保博久

タイトル買い。『戦後のミステリ出版史のアウトラインが辿れるものに、結果的になったように自負する。』と語る内容そのままに、殆どは既に定年などで退職した名編集者らへのインタビューを丁寧にまとめた一冊になっている。人選もさることながら、注釈が充…

Uncreative Writing: Managing Language in the Digital Age by Kenneth Goldsmith

Uncreative Writingと書名がついているように、一般的にはクリエイティブじゃないよね、クールじゃないよねみたいなやり方で生まれてくるcreativeな側面もあるんじゃない? むしろuncreativeだと思われて手をつけられていないところにこそ、今後重要になるん…

24人のビリー・ミリガン〔新版〕 by ダニエル・キイス

ダニエル・キイスといえば有名作の『アルジャーノンに花束を』と本書『24人のビリー・ミリガン』を思い浮かべる人が多いのではないか。24人のビリー・ミリガン〔新版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)作者: ダニエル・キイス,堀内静子出版社/メーカー: …

「衝動」に支配される世界---我慢しない消費者が社会を食いつくす by ポール・ロバーツ

「衝動」に支配される世界---我慢しない消費者が社会を食いつくす作者: ポール・ロバーツ/神保哲生解説出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2015/03/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るTwitterやFacebookは常に何らかの更新が発生し続けてい…

友だちはいらない。 by 押井守

友だちはいらない。(TV Bros.新書) (TOKYO NEWS MOOK 481号)作者: 押井守出版社/メーカー: 東京ニュース通信社発売日: 2015/04/30メディア: ムックこの商品を含むブログを見るぱらっとめくってみて「げ、聞き書きかよお」と思ってしまったけどめっぽう面白…

黒い迷宮: ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実 by リチャード ロイド パリー

黒い迷宮: ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実 (ハヤカワ・ノンフィクション)作者: リチャードロイドパリー,Richard Lloyd Parry,濱野大道出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/04/22メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る5月…

撤退するアメリカと「無秩序」の世紀ーーーそして世界の警察はいなくなった by ブレット・スティーブンズ

撤退するアメリカと「無秩序」の世紀ーーそして世界の警察はいなくなった作者: ブレット・スティーブンズ,藤原朝子出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2015/04/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る著者の立場があらかじめゴリゴリに決まって…

能・文楽・歌舞伎 (講談社学術文庫) by ドナルド・キーン

能・文楽・歌舞伎 (講談社学術文庫)作者: ドナルド・キーン,吉田健一,松宮史朗出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/05/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (15件) を見る森博嗣さんの小説『マインド・クァンチャ』の引用本。この…

コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと by 川上量生

川上量生さん。着メロのサービスとニコニコ動画をつくってみせた。ニコニコ動画は最初は違法アニメ動画ばかりの状況から健全化させる、きちんとしたアップロード環境を整えると宣言し殆ど信じている人もいなかったのにいつのまにやらニコニコ動画は公式配信…

Alone Together: Why We Expect More from Technology and Less from Each Other by Sherry Turkle

本書『Alone Together: Why We Expect More from Technology and Less from Each Other』は2011年発刊の物。出版された本国ではどの程度の評判でもって受け入れられたのかは知らないが日本じゃまだ未訳なんだよね。『衝動に支配される世界』という本で引用さ…

ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術

基本特撮系の脚本家同士の対談集だけれども、ほとんどの人はアニメ脚本もやっている人達だ。「物凄いオススメ! コレは凄い本だ!!」という物ではないけれども、実写なりアニメなりの脚本家同士の生の会話が読みたい人にはこれ以上ない本だろう。実写とアニ…

監督稼業めった斬り―勝つために戦え! (徳間文庫カレッジ) by 押井守

この本については五年前に単行本を読んで記事を書いているんだけど、文庫化して改めて読んでみるとやっぱり面白い本だ。しかし五年前の記事って読み返すの恥ずかしいな。念のためちょっと開いてみたけど何かバカなこといってやしないかと怖くて読めなかった…

天才を生んだ孤独な少年期 ―― ダ・ヴィンチからジョブズまで by 熊谷高幸

恐らく今までで僕が受けたことのある質問の中で一番多いのが「どうしたらそんなに本を読めるんですか」だが、これにはいつもシンプルな回答しか返すことができない。本を読む以外のことを一切やめてしまえばいい。テレビを見るのもやめて人と会うのも辞めて…

本で床は抜けるのか by 西牟田靖

僕は本屋でバイトしていたこともあるのでよくわかるのだが何しろ本は重い。毎日毎日凄い量の本が運び込まれてきて毎日毎日凄い量を返品してなんでこんな無駄な大量輸送を日々往復させてんだろうなあと思いながら毎日返品作業をこなしていたが、とにかく重た…

ファンタジーと言葉 (岩波現代文庫) by アーシュラ・K.ル=グウィン

ル・グインが創作についてや図書館のこと、自己紹介から今まで読んできた本などいろいろと語っているエッセイの文庫化。元は2006年に出た単行本だから、ファンは既に読んでいるものと思うが僕は今回文庫化にあたってはじめて読んだ。ル・グインは代表作ゲド…

帰還兵はなぜ自殺するのか by デイヴィッド・フィンケル

二百万人のアメリカ人がイラクとアフガニスタンの戦争に派遣された。そしてそのうちの二十パーセントから三十パーセントにあたる人々が心的外傷後ストレス障害(PTSD)や外傷性脳損傷をおっている。戦争が起これば当然ながらそこでは戦闘行為が起こるわけで…

なぜ、この人と話をすると楽になるのか by 吉田尚記

先日みならいディーバというアニメ作品について記事を書いた⇒みならいディーバという奇跡 - 基本読書 この作品の製作総指揮兼演者としても出演しているのがこの吉田尚記さんである。ニッポン放送のアナウンサーでありながらその仕事は(アニメの製作総指揮な…

恋するソマリア by 高野秀行

あの衝撃的な謎の独立国家ソマリランド by 高野秀行 - 基本読書を出してからおよそ2年、高野秀行さんによる続編が出版された。前作は独立国家ソマリランドという「場所」「歴史」「人間」の面白さに相乗効果的に高野秀行さんの視点と行動力、そして文章力の…

イスラーム国の衝撃 (文春新書) by 池内恵

イスラム国関連の書籍をざっと4,5冊読んだが1冊選ぶとしたらこれだな。次点としてロレッタ・ナポリオーニの『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』はイスラム国のメディア戦略とテクノロジー、あとは世界政治の中での立位置にページを割いていてまと…

石油の帝国---エクソンモービルとアメリカのスーパーパワー by スティーブ コール

本書『石油の帝国』はアメリカのテキサス州を本拠地とするエネルギー企業であるエクソン・モービルの1990年代から2010年代に至るまでにどのような動きをとってきたのかの著作である。一言で「こういう本です」というのがなかなか難しい本で、俗にいうところ…

翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり by 片岡 義男,鴻巣 友季子

翻訳とは原語があるといってもそれぞれの単語がすべて一対一で対応しているわけではない以上、十人訳せば十通りの訳がぽこんと出てくるものだ。誤訳はあっても正訳はないというところか。しかしだからこそ、揺らぎの世界で第一線を張っている翻訳者の言葉は…

文体の科学 by 山本貴光

ほとんどの場合文体を論じるといえば小説かもしくは詩についてだが、本書は法律文から科学における文章、批評から小説、辞書まで幅広い分野の文体を視野に入れ、一つ一つ文章上の特性を確認していく内容になっている。さらには単に書かれた文章それ自体を見…

セラピスト by 最相葉月

記事を書くかどうか結構悩んだ本(内的なブログに載せる基準に達しているか否かの判断)だったけれども、やっぱり面白かったから書くことにした。内容としては河合隼雄と中井久夫のカウンセリング界隈では有名な二人を主軸にして、箱庭療法やカウンセリング…

偏愛蔵書室 by 諏訪哲史

普段本についてあれこれ書いているせいか、あまり人が本についてあれこれ書いた文章を読みたくないと意識的に避けてしまう。出来が悪ければイライラするし、出来が良ければ自分が書こうと思えなくなってしまうからだけど、それ以前に好みの問題もある。僕は…

本は死なない Amazonキンドル開発者が語る「読書の未来」 by ジェイソン・マーコスキー

Amazon本社でKindle開発の現場責任者として携わり、プロダクト、エンジニアリング、プログラムマネージャーをそれぞれ担当しKindleのエバンジェリスト(伝導者)として任命され、Amazon退社後Googleへ、そして今は読書関連のサービス会社を設立しているとま…

恐怖の作法: ホラー映画の技術 by 小中千昭

ホラー映画を記憶にあるかぎり見たことがない。あのリングも見たことがないし呪怨も見たことがない。学校の階段も見たことがないしそれに類するドキュメンタリー系の心霊現象番組も見たことがない。それに関連してお化け屋敷に入ったこともなければジェット…

あなたは今、この文章を読んでいる。:パラフィクションの誕生 by 佐々木敦

あんまり評論家の人の文章は読まないんだけれども、佐々木敦さんは例外的にちゃんと読んでいる人だと思う。それは何も評論家の書くものはつまらないだとか言っているわけではなくて、ただ個人的に言ってることの意味がよくわからないことが続いたから避ける…