基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

経済ノンフィクション

経済から文化まで、未来を知るにはまず人口に注目すべし──『人口は未来を語る 「10の数字」で知る経済、少子化、環境問題』

人口は未来を語る 「10の数字」で知る経済、少子化、環境問題作者:ポール・モーランドNHK出版Amazon未来に何が起こるのか予測するのは簡単なことではないが、人口は比較的確度の高い予測が可能な分野である。日本の人口が突然倍増することはありえないし仮…

技術革新を不平等に向かわせないためには、何が必要なのか──『技術革新と不平等の1000年史』

技術革新と不平等の1000年史 上作者:ダロン アセモグル,サイモン ジョンソン早川書房Amazonこの『技術革新と不平等の1000年史』は、技術革新の歴史を概観しながら、それが経済成長や不平等とどのように関連したのかを解き明かしていく一冊である。技術革新が…

仕事ごときで燃え尽きてしまわないために、何をすればいいのか──『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』

なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか作者:ジョナサン マレシック青土社Amazonこの『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』は、日本語では燃え尽き症候群、英語ではバーンアウトと言われたりする症状──それまで熱心に仕事をしていた人が、やる気を失ってしまうな…

AIによる「自動化」の背後に隠れて生み出された、大量の人間を必要とする仕事について──『ゴースト・ワーク』

ゴースト・ワーク作者:メアリー・L・グレイ,シッダールタ・スリ晶文社Amazon『ゴースト・ワーク』とまるでホラー小説のような書名だが、ノンフィクションである。「ゴースト・ワーク」とは本書の造語で、人工知能やウェブサイトの動作を支えている、見えづら…

資金洗浄し放題になると何が起こるのか──『クレプトクラシー資金洗浄の巨大な闇―世界最大のマネーロンダリング天国アメリカ』

クレプトクラシー 資金洗浄の巨大な闇: 世界最大のマネーロンダリング天国アメリカ作者:ケイシー・ミシェル草思社Amazonこの『クリプトラシー資金洗浄の巨大な闇』は、米国でこれまで行われてきた資金洗浄の実態について書かれた一冊である。僕のような一般…

すべてが成長する時代は終わり、素晴らしい停滞の時代が始まる──『Slowdown 減速する素晴らしき世界』

Slowdown 減速する素晴らしき世界作者:ダニー・ドーリング東洋経済新報社Amazonこの『Slowdown 減速する素晴らしき世界』は、世界人口の増加も、経済の発展も、平均寿命も、負債も、技術革新も、すべての「加速」が終わって減速、あるいは停滞に向か…

億万長者は金とその影響力によって政治を好き勝手操作する──『ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち』

ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち作者:ピーター・S グッドマンハーパーコリンズ・ジャパンAmazon「ダボスマン」とは、スイスのダボスで行われる世界経済フォーラム総会(ダボス会議)に参加する億万長者たちの呼称である。大勢いるが、有名所では…

世界的に少子高齢化が進展した時、世界経済はどうなってしまうのか?──『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』

人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小 (日本経済新聞出版)作者:チャールズ・グッドハート,マノジ・プラダン日経BPAmazon日本が少子化対策に失敗し続け、少子高齢化が進行しているのは誰もが知っていることだと思うが、この傾向は何も日本に限っ…

仕事が行き渡らない世界がやってきたら、我々はどうやって生きていけばいいのか?──『WORLD WITHOUT WORK――AI時代の新「大きな政府」論』

WORLD WITHOUT WORK――AI時代の新「大きな政府」論作者:ダニエル・サスキンドみすず書房Amazon近年、AIなどのテクノロジーの進歩は、人間から仕事を奪う。いや歴史が証明しているようにテクノロジーの進歩は新しい仕事を作り出すから人は新しい仕事へと移るだ…

あなたの給料はなぜその額なのか?──『給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く』

給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く作者:ジェイク・ローゼンフェルドみすず書房Amazon自分が毎月いくらもらえるのかは、日本・世界経済がどうこうよりもよほど重要な目先のテーマである。だが、それ=給料はどうやって決定されている…

インディーゲームを作り続けていくための現場の知見と悩みが詰まった最良のガイドブック──『インディーゲーム・サバイバルガイド』

インディーゲーム・サバイバルガイド作者:一條 貴彰技術評論社Amazonこの数年、UnityやUEのようなゲーム開発エンジンが発展し、ダウンロード販売が当たり前になり、スマホのスペックが上がり自由度が増したなど複数の要因が重なって、少人数で制作・販売され…

我々の行動のほとんどすべてに関係してくる、税金の機能とその歴史について─『税金の世界史』

税金の世界史作者:ドミニク・フリスビー河出書房新社Amazonこの『税金の世界史』は、その書名のまんま、税金の歴史について書かれた一冊である。税金というのは、たしかに言われてみればこれはおもしろいテーマだ。我々は消費税増税が起これば大反対をかまし…

注意力を取り戻し、社会に潜むコンテクストを深く理解するための「なにもしない」という方法──『何もしない』

何もしない作者:ジェニー オデル早川書房Amazonこの『何もしない』は、「何もしない」ための行動計画書というか、思索書というか、自己啓発書というか、そんな感じの本である。何もしないなんて簡単だろう、何もしないだけなんだから、と思うかもしれないが…

資本主義以外の選択肢を模索する、経済学者・政治家によるSF経済書──『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』

クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界作者:ヤニス・バルファキス講談社Amazonこの『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』は、『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』などで知られる経済学…

温室効果ガス排出量を510億トンからゼロへ、ビル・ゲイツの提言───『地球の未来のため僕が決断したこと:気候大災害は防げる』

地球の未来のため僕が決断したこと作者:ビル・ゲイツ,Bill Gates早川書房Amazonこの『地球の未来のため僕が決断したこと』は、マイクロソフト創業者にして、世界最大の慈善基金団体であるビル&メリンダ・ゲイツ財団を創設・運営している、イメージ的には永遠…

グーグルやフェイスブックによって、人間性が強奪される未来についての警告──『監視資本主義: 人類の未来を賭けた闘い』

監視資本主義―人類の未来を賭けた闘い作者:ショシャナ・ズボフ東洋経済新報社Amazonこの『監視資本主義』は、ショシャナ・ズボフによって書かれた資本主義と人類文化の未来についてを扱った壮大なテーマの一冊である。壮大なのはテーマだけでなく、本文600ペ…

法がおよびづらい、海の無法者たちの世界を暴き出すノンフィクション──『アウトロー・オーシャン:海の「無法地帯」をゆく』

アウトロー・オーシャン(上):海の「無法地帯」をゆく作者:イアン・アービナ白水社Amazonこの『アウトロー・オーシャン』は、ニューヨーク・タイムズで記者として働き、本書のもととなった「無法の大洋」と名付けられた一連の記事で数々の賞を受賞したイアン…

寿命が短くなっていく国アメリカで何が起きているのか──『絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの』

絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの作者:アン・ケース,アンガス・ディートン発売日: 2021/01/18メディア: Kindle版アメリカでは今、絶望死が増えている。絶望死とは、アルコールや薬物依存による死亡、自殺の死因をまとめたもので、45歳から54歳の…

東浩紀による自伝的経営奮闘記──『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』

ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ)作者:東浩紀発売日: 2020/12/11メディア: Kindle版この『ゲンロン戦記』は、ゲンロンという、SF作家養成や批評家養成スクールを開いたり、批評家や作家や哲学者らの対談イベントを自前のカフェで開いた…

データからみたジェンダー・ギャップ、無償労働に医療に軍隊にトイレまで──『存在しない女たち:男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』

存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く作者:キャロライン・クリアド=ペレス発売日: 2020/11/27メディア: 単行本この『存在しない女たち』は、英国のジャーナリストでフェミニスト活動家として知られるキャロライン・クリアド=…

金融から感染症、格差まで、すべては人の繋がり・ネットワークが関係している──『ヒューマン・ネットワーク 人づきあいの経済学』

ヒューマン・ネットワーク 人づきあいの経済学作者:マシュー O ジャクソン発売日: 2020/11/19メディア: Kindle版2020年はひときわネットワークが意識される年だった。インターネットのことではなくて、人と人とのネットワークの話だ。人付き合いが多く、よ…

日々イノベーションが起こっているのに、多くの人が将来に悲観的なのはなぜなのか──『テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス』

テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス作者:カール・B・フレイ発売日: 2020/09/18メディア: Kindle版昨今世を賑わしているのは、AIが人間の労働を代替してしまうがゆえに、どんどん人は解雇され仕事につけなくなってしまう、という不安や恐怖…

財政赤字は、新型コロナ危機を脱する唯一の道という現代貨幣理論の理屈──『財政赤字の神話 MMTと国民のための経済の誕生』

財政赤字の神話 MMTと国民のための経済の誕生作者:ステファニー ケルトン発売日: 2020/10/06メディア: Kindle版この『財政赤字の神話』は、アメリカの経済学者でMMT(現代貨幣理論)の第一人者、民主党のチーフエコノミストやバーニー・サンダース上院議員…

なぜ、無意味な仕事ばかり増えているのか?──『ブルシット・ジョブ──クソどうでもいい仕事の理論』

ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論作者:デヴィッド・グレーバー発売日: 2020/07/30メディア: 単行本この『ブルシット・ジョブ』は、文化人類学者であるデヴィッド・グレーバーによる「クソどうでもいい仕事」についての理論である。「クソどう…

なぜ経済学者は信用されないのか?──『絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか』

絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか (日本経済新聞出版)作者:アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ発売日: 2020/04/17メディア: Kindle版2019年にノーベル経済学賞を受賞したバナジー・アビジット・Vとデュフロ・エステルによ…

「いま・ここ」で起こっている経済の危機とその対策はなにか!? 緊急出版されたコロナ経済本──『コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画』

コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画 (文春e-book)作者:冨山 和彦発売日: 2020/04/30メディア: Kindle版『なぜローカル経済から日本は甦るのか 』や『AI経営で会社は甦る』といった著作、名だたる企業の社外取締役で名をはせている冨山和彦による、…

ペストから新型コロナまで──『人類と病-国際政治から見る感染症と健康格差』

人類と病-国際政治から見る感染症と健康格差 (中公新書 2590)作者:詫摩 佳代発売日: 2020/04/18メディア: 新書4月18日頃刊行の新書なのでなんともタイムリーな……と読み始めてみたが、コロナ騒動が持ち上がってから書き飛ばされたような新書ではなく、数年に…

CEOに就任して15年で時価総額を5倍に、ピクサーにマーベルといった超大型買収を次々成し遂げた凄い男の回想録──『ディズニーCEOが実践する10の原則』

ディズニーCEOが実践する10の原則作者:ロバート・アイガー発売日: 2020/04/04メディア: 単行本ロバート・アイガーは本当に凄い男だ。ディズニーCEOに2005年から君臨し、当時ヒットする映画を全く生み出せず低調だった組織体制を再編し、コンテンツ重視の質を…

未来を考えるうえでもっとも重要な「世界人口の減少」というテーマ──『2050年 世界人口大減少』

2050年 世界人口大減少作者:ダリル・ブリッカー,ジョン・イビットソン発売日: 2020/02/24メディア: 単行本数十年後の世界人口がどうなっているのかというのは、最重要のトピックだ。何しろ、環境問題の悪化も、経済の状況も、文化も、都市化も、今世界で問題…

再生可能エネルギーを前提とした分散型インフラへと大転換するために──『グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う』

グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う作者:ジェレミー リフキン出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2020/02/25メディア: 単行本『第三次産業革命』、『限界費用ゼロ社会』などの著作…