基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

獣の樹

舞城王太郎が放つ……何小説だろう? ともかく、「ジャンル付けを求めてないんだ、僕は」というような「アイデンティティへの反発」が感じられる、骨太な一冊。舞城王太郎作品を読み終わった時の、共通する感覚は「すっきり爽快」だと僕は勝手に思っているけれ…

ジャンプに伝統的に存在する最終決戦用のロケ地をブリーチも使うようです

ジャンプ漫画には、ドラゴンボールを祖先に持ちながら、最近ではあの大人気漫画HUNTER×HUNTERでも使用された「選ばれし漫画」にしか使うことが許されない伝説のロケ地(たぶん借りるのに凄いお金がかかる。ロックスター的にいえば武道館)があるのです。今週…

日本語は亡びない

カナタで日本語教師を20年勤めている金谷武洋氏による、日本語論。おもに水村美苗氏による『日本語が亡びるとき』への反論として書かれている。僕は『日本語が亡びるとき』を読んでいないのであまり大きなことは言えないのですが、本書を読んでいると「日本…

横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力

横井軍平氏が、自分で作ってきたゲームを年代順に一つずつ製作秘話などを語っていくスタイルの本書。凄く面白かったです。何よりこういう「アイデア勝負」の業界人は、常に新しいアイデアが世間に受けるかどうかで結構神経過敏になっている例が、インタビュ…

翻訳夜話2 サリンジャー戦記

村上春樹と、柴田元幸が翻訳について語り倒す翻訳夜話2、今回は一冊丸々J.D.サリンジャーについて。これがやっぱり面白い。これはもう面白いですよ。「翻訳」をテーマに語っているわけですけれども、翻訳について語れば語るほど、問題は大きく広がりを見せて…

翻訳夜話/村上春樹 柴田元幸

翻訳家として第一線で訳し続けている二人の対談集。先日『考える人』の村上春樹インタビューを読んでいたら、本書のことが話題にのぼっていたのでついつい手が伸びてしまう。なにしろ二人とも大好きなもので。当然、大変面白く読んだ。考えてみれば、翻訳と…

突然失業してもこれさえ持っていれば生きていける!!──『ゼロから始める都市型狩猟採集生活/坂口恭平』

一点を除けば大変素晴らしい。文句をつけたい一点については後回しにして、素晴らしいのは本書を読むことによって「都市を見る目」が一変するところにあると思う。「都市型狩猟生活」というタイトルに違和感を覚える人も多いだろうけれど、その意図するとこ…

『考える人』の村上春樹ロングインタビューを読む

村上春樹へのインタビューの取材申し込み依頼のメイルへの返信に、村上春樹は「The author should be the last man to talk about his work」という言葉を引いたそうで。その言葉に沿う形で、このインタビューは村上春樹自身による自作の解説、というよりか…

『マルジナリアの妙薬/新城カズマ』

想像力を刺激させられる物語。ほんの数分で読み終えられるショートショートが12編入っているだけなので、手軽に読み終えることが出来ました。著者は『サマー/タイム/トラベラー』『蓬莱学園シリーズ』などの新城カズマ。内容はそのほとんどがメタ小説ですね…

地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?/久繁哲之介

地方の荒廃は最近よく話題にのぼる。地方活性化の為に多くの活動が行われていることも話題にのぼるけれども、どの程度成功しているかなどの実態は伝え聞いてくるだけではよくわからない。本書「地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?」を読めば…

街場のメディア論/内田樹

内田せんせーの新刊。今回はメディアの衰退を分析します。これがまた非常に面白い。僕たちの身の回りに溢れかえっているメディア、出版、テレビ、新聞、などなどは、溢れかえっているが故に私たちの行動、思考様式と密接に関係しています。メディアの不調は…

IT全盛の時代に忘れてはならないこと

「IT全盛の時代に忘れてはならないこと」なんて大層なタイトルをつけてお前はいったいどんな凄い大上段からの無知なお説教をかましてくれるつもりだこの野郎と誰もが思ったに違いないですが(誰よりも最初に僕が思った)ただ単に、久しぶりに読んだE.G.コン…

カオスの紡ぐ夢の中で/金子邦彦

大変面白く読んだ。本書が読者に与えるのは、「新しいものの見方」「考え方」などである。読み始める前と読み終えた時では、別の人間になっていること。僕はそれが名著の定義であると思っているけれど、その意味では本書はまさに名著と言うほかない。視点を…

人生は無意味だ──『人間の絆/モーム』

いやはや素晴らしい。初めてこの人間の絆が世の中に出たのが1950年だというので、すでに60年もの時間が経過したことになる。しかし、こういう古典的な名作には決まって聞かれるセリフだけど今読んでもまったく古い感じがしない。とても新しく感じるし、ここ…

本を読んだら散歩する

『読書について/ショウペンハウエル』を読んだ。内容を簡単にまとめてしまえば、「読んだことを鵜呑みにするな」「他人の意見を自分の意見にすり替えるな」という二つの事を言っているように思いました。印象的だったのが、この言葉。「本を読むというのは…

宇宙兄弟を読んで夢が破れても前に進む勇気を貰う。

五巻まで読んでましたけどつい最近六巻から最新刊まで一気読み。これはやっぱりなんというかべらぼうに面白い。宇宙飛行士になるという夢を持った兄弟の物語です。兄弟のうち弟は夢に一直線に進んでいきすでに宇宙飛行士に。会社に勤めていた兄はリストラさ…

バランス良く逃避すればいいんじゃないかな

NT 10年9月号 冲方×富野 第3回 リアリズムの喪失 - シャア専用ブログ@アクシズこれを読んで僕なりに思った事を適当にメモのように書いていきましょう。なんか書いてたら凄く当たり前のことだし誰もがそれぐらい把握しているよ、って感じだと思うので凄く恥ず…

音楽は自由にする/坂本龍一

実は坂本龍一の事は名前と戦場のメリークリスマスっていう曲をどこかで耳にしたことがあるな〜〜というぐらいしか知らなかったのですが、タイトルの「音楽は自由にする」ていうのと本の表紙がかっちょよかったのでよんでみました。本書の内容は氏の子供時代…

騙されない為に──『年金は本当にもらえるのか?/鈴木亘』

最近100歳以上の高齢者が次々と行方不明になっていますね。まあでもあれ、死んでない事にすれば年金貰い続ることができるとかいうアホな制度なんですから、こういうことが起こってしまうのは事前にわかりそうなもんですがね。というわけで年金。『年金は本当…

利他的で利己的な遺伝子──『ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎/田沼靖一』

常識を疑うことこそが科学だというようなことを言っていたのが『99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方/竹内薫』ですがその意味でいえば、「そもそもぼくらなんで死なないといけないの?」というある意味哲学的な問いこそはまさに「誰もが信じて疑…

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方/竹内薫

2006年が初版だしばんばん売れているしで時期を逸するにも程度ってもんがあるだろうというぐらい何もかも逸しているのですが、しかしまあ一度は読みたい読みたいと思っていたので読むのもいいでしょう。読んでみたら難しいことは何もいっていなくて、凄くわ…

現代語訳 武士道/新渡戸稲造

ちくま新書から、新渡戸稲造の武士道が新しく訳されて出ていた。内田樹先生が帯を書いていることもあってつい手に取ってしまう。特に期待していなかったがこれが面白い。「日本人は宗教なしに道徳をどう学ぶのか」に対する答えが、この『武士道』になってい…

死を受け入れるまでの第五段階

『死ぬ瞬間―死とその過程について/エリザベス キューブラー・ロス』を読んでいたら、死を受容するまでには大体においてこの過程を辿るという、死の五段階説が提唱されていた。ちょっと面白かったというかメモっておきたかったので一応ここに書いておこう。…

死ぬ瞬間―死とその過程について/エリザベス キューブラー・ロス

最初に発表されたのは1969年なのでもう立派に古典である。主に末期癌患者へのインタビューをもとにした、死にいたる人間の心の動きを研究した内容が本書には収められている。僕も今までに何人か、死に瀕した人と病院で会話したことがあるけれども(幸い近い…

アメリカからが消える/堤未果

本書を読んでいて一番思ったのは、「これは本当のことなのか?」というような疑問でした。誰も信じてなくて、僕だけ無知なので信じてしまっているのかな? と。まあ実際問題本書はかなり強烈に訴えかけるように、出来るだけ強いインパクトを与える表現、描写…

辺境生物探訪記 生命の本質を求めて/長沼 毅,藤崎 慎吾

これは面白いですね。読んでいて久しぶりに血がたぎってくるような新書でした。というのも本書は微生物の科学者であり、「科学界のインディ・ジョーンズ」と呼ばれる程に地球の辺境(深海、砂漠、南極北極、はては地下まで)を転々として研究をしている、辺…