地球へのSF (ハヤカワ文庫JA)早川書房Amazonこの『地球へのSF』は、日本SF作家クラブ(SFやファンタジイに関係する人々が集まっている業界団体)編による書き下ろしアンソロジーの第四弾。第一弾は感染症をテーマにした『ポストコロナのSF』、第二弾は近未来…
ヴィクトリア朝時代のインターネット (ハヤカワ文庫NF)作者:トム スタンデージ早川書房Amazon約200年前の19世紀。科学は未発達で、現在は一般的なものが存在しない時代だ。抗生物質はみつかっていないし(抗生物質は20世紀)、ライト兄弟が飛行を成功させたの…
シリコンバレーのドローン海賊 人新世SF傑作選 (創元SF文庫)作者:メグ・エリソン,テイド・トンプソン,ダリル・グレゴリイ,グレッグ・イーガン,サラ・ゲイリー,ジャスティナ・ロブソン,陳楸帆,マルカ・オールダー,サード・Z・フセイン,ジェイムズ・ブラッド…
忘却の効用: 「忘れること」で脳は何を得るのか作者:スコット・A・スモール白揚社Amazon基本的に記憶力が良いことはこの社会を生き延びていくにあたって「良い」ことだとされている。記憶力を高めたいと思わない人がいるだろうか? 認知症でもないのに忘れっ…
読めない人が「読む」世界:読むことの多様性作者:マシュー・ルベリー原書房Amazon読書は日常的な行為ではあるが、実はそのやり方は人によって大きく異なる。書かれている文字を読んで、その意味を理解したり解釈したりするっていうだけでは? と思うかもしれ…
絶海: 英国船ウェイジャー号の地獄作者:デイヴィッド・グラン,David Grann早川書房Amazonこの『絶海』は、1740年代に起こった英国船ウェイジャー号の漂流。そしてそこからの数年がかりの帰還までを描き出した、冒険・歴史ノンフィクションである。もともとウ…
まじめにエイリアンの姿を想像してみた作者:アリク カーシェンバウム柏書房Amazonこの『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』は、書名だけみると小学生ぐらいの夏休みの自由研究みたいだが、実際は動物学者の著者が、生物学、物理学など科学の知識を総動…
ソクラテスからSNS 「言論の自由」全史作者:ヤコブ ムシャンガマ早川書房Amazonこの『ソクラテスからSNS』は、紀元前の古代アテナイの時代からはじまって、インターネット時代である21世紀の現代に至るまで、世界中の「言論の自由」をめぐる事件や動きを…
ゲノム裁判――ヒト遺伝子は誰のものか作者:ジョージ・L・コントレラスみすず書房Amazonこの『ゲノム裁判』は、ヒトの遺伝子に特許が認められるのが当たりまえだった時代のアメリカで「誰かが発明したわけでもない、自然に存在するヒト遺伝子に特許が認められ…
www.netflix.com 世界累計2900万部、日本で中国SFブームを引き起こすきっかけになった劉慈欣による壮大なSF長篇《三体》三部作。そのNetflixドラマ版が先日公開された。エピソード数は全部で8話で、原作(第二部、第三部は上下巻)の分量のことを思えば8話でそ…
未来経過観測員 (角川書店単行本)作者:田中 空KADOKAWAAmazonこの『未来経過観測員』は、縦読みならではの物語を構築し次々と明らかになる世界の真の姿、無限構造の物語を描きだしてみせた漫画『タテの国』や宇宙をさまよい、偶然出会った無人の宇宙船同士で…
闇の中をどこまで高く (海外文学セレクション)作者:セコイア・ナガマツ東京創元社Amazonこの『闇の中をどこまで高く』は、アーシュラ・K・ル=グイン賞特別賞受賞作にして1982年生まれのアメリカ作家セコイア・ナガマツによる第一長篇だ。北極病と呼ばれる感…
クック・トゥ・ザ・フューチャー 3Dフードプリンターが予測する24 の未来食作者:石川 伸一,石川 繭子グラフィック社Amazon仮想世界やAIなど未来により発展していくとみられる技術はいくつもあるが、そのうちのひとつに「3Dプリンタ」がある。これは3DCGなど…
ここはすべての夜明けまえ作者:間宮 改衣早川書房Amazonこの『ここはすべての夜明けまえ』は、第11回ハヤカワSFコンテストの特別賞を受賞したSF中篇(もしくは短めの長篇といえるかぐらい)だ。特別賞は長さが短めだったり一点突破の魅力があったりで受賞する…
温暖化に負けない生き物たち:気候変動を生き抜くしたたかな戦略作者:ソーア・ハンソン白揚社Amazon気候変動で地球がヤバいとは近年しきりに言われるところである。温暖化で人類の生活が苦しくなるだけならまだしも、それ意外の動植物たちは環境に翻弄されな…
生と死を分ける翻訳: 聖書から機械翻訳まで作者:アンナ・アスラニアン草思社Amazon日夜世界の様々なニュースやコンテンツが翻訳されてくる昨今。翻訳に触れる機会が増えているからこそ、翻訳の限界や難しさを感じることも多い。僕が最近翻訳の難しさを感じた…
帝国の疫病――植民地主義、奴隷制度、戦争は医学をどう変えたかみすず書房Amazon「疫病(えきびょう)」とは、集団発生する伝染病などのことを指す。少し前ではコレラや赤痢。最近ではコロナウイルスなどのような病のことである。同様の病は昔からあったが大…
ロボットの夢の都市 (創元海外SF叢書)作者:ラヴィ・ティドハー東京創元社Amazonこの『ロボットの夢の都市』は、第二次世界大戦直前に世界各地に現れた異能力者たちの暗躍を陰鬱なトーンで描き出す『完璧な夏の日』や、ヒトラーが失脚しロンドンに移り住ん…
チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク (竹書房文庫)作者:ジョン・スラデック竹書房Amazonこの『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・…
世界から青空がなくなる日:自然を操作するテクノロジーと人新世の未来作者:エリザベス・コルバート白揚社Amazon人類は技術が発展するたびにそれを使って自然を操作・征服しようとしてきた。その試みの中には成功したものもあれば(農耕だって自然の操作の一…
人口は未来を語る 「10の数字」で知る経済、少子化、環境問題作者:ポール・モーランドNHK出版Amazon未来に何が起こるのか予測するのは簡単なことではないが、人口は比較的確度の高い予測が可能な分野である。日本の人口が突然倍増することはありえないし仮…
見えない未来を変える「いま」――〈長期主義〉倫理学のフレームワーク作者:ウィリアム・マッカスキルみすず書房Amazonこの『見えない未来を変える「いま」』は、現在シリコンバレー界隈などで人気の高い「長期主義(Longtermism)」という思想について書かれ…
技術革新と不平等の1000年史 上作者:ダロン アセモグル,サイモン ジョンソン早川書房Amazonこの『技術革新と不平等の1000年史』は、技術革新の歴史を概観しながら、それが経済成長や不平等とどのように関連したのかを解き明かしていく一冊である。技術革新が…
未解決殺人クラブ~市民探偵たちの執念と正義の実録集作者:ニコル・ストウ大和書房Amazon市民探偵というと日本でイメージとして上がるのは毛利小五郎(with/江戸川コナン)か金田一あたりだろうが、実は世の中には多種多様な市民探偵が存在する。事件現場に…
WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理 上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源作者:ジョセフ・ヘンリック白揚社Amazonこの『WEIRD「現代人」の奇妙な心理』は、西洋を中心とした現代人が人類進化の途上で存在してきた社会の人々と、神経学的にも心理…
今年おもしろかった本を一気に紹介します。大きめの書店が次々閉店し、人手不足や配送の問題もあって出版的には厳しい時期が続くがおもしろい本は依然として絶えない。あとゲームもいっぱいやったので、本だけでなくゲームも合わせて振り返っていこう。いつ…
メタゾアの心身問題――動物の生活と心の誕生みすず書房Amazonこの『メタゾアの心身問題』は、タコやイカがどのような「意識」を持っているのかについて様々な観察・研究をもとに紹介した、『タコの心身問題』の続篇にあたる。『タコの心身問題』は本邦での刊…
宇宙の果ての本屋 現代中華SF傑作選作者:顧適,何夕,韓松,宝樹,陸秋槎,陳楸帆,王晋康,王侃瑜,程婧波,梁清散,万象峰年,譚楷,趙海虹,昼温,江波新紀元社Amazonこの『宇宙の果ての本屋』は、日本における中華SF翻訳・紹介の立役者立原透耶編集による中華SF傑…
奏で手のヌフレツン作者:酉島 伝法河出書房新社Amazon酉島伝法はデビュー作の連作短篇集『皆勤の徒』と第一長篇『宿借りの星』が共に日本SF大賞を獲得と、寡作ながらもその作品は常に高い評価を受けてきた。そんな酉島伝法による最新作『奏で手のヌフレツン…
呪いを解く者作者:フランシス・ハーディング東京創元社Amazonこの『呪いを解く者』はジュブナイル系ファンタジイ長篇の名手フランシス・ハーディングの最新邦訳作にして、呪いとそれを解きほぐすことをテーマにした異世界ファンタジイだ。ハーディングのこれ…