基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2010-01-01から1年間の記事一覧

そして誰もいなくなった──『ロボット兵士の戦争』

最初は、人類だけで機械はなかった。それから、人類は機械を手にした。そしてついに、機械だけで人類はいなくなった*1 いやあこれは凄い。21世紀における戦争の、革新的な部分を「ロボット」に認めて、その全体像を語っていく。第一部ではどのようなロボット…

2010年週刊少年ジャンプ42号をざっくり語る1

僕は、過去に幾度かジャンプ感想を書いてきたのですがどうにも大変な疲労を蓄積し、また書くのに時間がかかりすぎるのとメタリカとかSWOTとか少年疾駆とか、未来を見るまでもなく打ち切られることが分かりきっている漫画を読むのと感想を書くことに勝手に疲…

2010年週刊少年ジャンプ42号をざっくり語る2

適当に掲載順にいくとまずナルトですね、ナルト。正直言ってあんまりよんでいないのでこの二人が何で戦っているのか、二人の能力とかさっぱりわからないんですけど、六千億枚の起爆札って普通に凄いですよね。たとえば折り鶴だって六千億枚おろうと思ったら…

なぜ自爆攻撃なのか―イスラムの新しい殉教者たち

著者はイラン人で現在はヨーロッパ在住のファルハド・ホスロハヴァル。イラン問題における権威だという。どうでもいいのだけれども、イスラム世界、イラクとかその辺の人達の名前は日本人からすればちんぷんかんぷんすぎて名前がいっぱい出てきたけどさっぱ…

ピクサー成功の魔法

著ビル・カポダイ&リン・ジャクソンという二人のピクサー信者によって書かれたピクサーの解体本。ピクサーとは言うまでもないけれど、トイストーリー、ニモ、バグズライフなどなどを作ってきたアニメーション制作会社であり、いかにしてピクサーが独創性あ…

地球最後の日のための種子

伝記作家として知られるスーザン・ドウォーキン氏による、科学ノンフィクション。しかし内容はひとりの超人的な人物を追うことで進展していき、一種の自伝のようにも読める。その超人的な人物が誰なのかと言えば、遺伝子銀行家であるベント・スコウマンであ…

ロボット兵士の戦争とレイ・カーツワイルと特異点とSFの未来

『ロボット兵士の戦争』という、未来の戦争はロボットが主役となることを預言するような一冊を読んでいたら、レイ・カーツワイルについて一章を割いていたのですが、これが読んでみたら圧倒的に面白い。レイ・カーツワイル氏は発明家であり研究者であり未来…

ニワトリ 愛を独り占めにした鳥

日本で今飼われているニワトリの数は約三億羽で、世界中に散らばっているニワトリを合わせると百十億羽になるという。およそ人間の二倍であり、数だけでいったら人間よりもニワトリのほうが地球の住民としては力が強い。これはどんな家畜も及ばない圧倒的質…

このブログも三年目です

ブログをどうやって書いたらいいのか突然わからなくなった! とにかく何か書いてリハビリしなければ! と焦って今これを書いているのですけど、きがついたらこのブログも書き始めてから三年目です。今日がその日というわけじゃなくて7月のまん中あたりから…

難解な本を読む技術

ちまたには多読・速読を執拗にすすめる本が溢れかえっているけれども、読書は速ければいいというものではなく、読み終わってすぐに忘れてしまうようなのは「読んだ」とは言わないのです。読書とは読み終わることに意味があるのではなく理解することに意味が…

イキルキス

舞城王太郎による中・短編集。本書は表題作のイキルキスの他、鼻クソご飯とパッキャラ魔道の二編を加えた合計三編によって構成されている。どの短編も、恐ろしくとがっていて、文体もキレまくっていて、要するにいつもの舞城王太郎だった。傾向としてはどの…

若者殺しの時代

著:堀井憲一郎。尊敬するおちゃらけブロガーのちきりんさんが ここで→若者殺しの時代 - Chikirinの日記本の紹介をしていて、ほうほう面白そうですなと思って読んでみたら面白かった。2006年に出た本で、こうして古い本を紹介してもらえるのは機会として…

どうしても触れたくない

新しい職場に初めて出社した日、 嶋はエレベーターで二日酔いの男と一緒になる。 それが、新しい上司・外川との出会いだった。 無遠慮で図々しいように見えて、 気遣いを忘れない外川に惹かれる嶋だが、 傷ついた過去の経験から、一歩踏み出せずにいる。 一…

黒髪ロングを好きになってみせる!!

本日は9月6日(くろ)ということで、黒髪ロングイベントが開催されております。詳細はこれです→【募集】黒髪ロングイベント開催のお知らせ - 水星さん家なんとなく「おもしろい! やります!」といったものの、よく考えたら僕は別に黒髪ロングがそんなに好き…

ビッチマグネット

主人公は女子高生あたりの女の子、香緒里で弟と妙に仲が良くて一緒にお布団で寝たりする。姉萌え小説でもある。父親は浮気を繰り返す最低男で弟はビッチに振り回され自分は自分で人間の精神に興味を持ち始める。──冬木糸一が自分で書いたあらすじ 舞城王太郎…

獣の樹

舞城王太郎が放つ……何小説だろう? ともかく、「ジャンル付けを求めてないんだ、僕は」というような「アイデンティティへの反発」が感じられる、骨太な一冊。舞城王太郎作品を読み終わった時の、共通する感覚は「すっきり爽快」だと僕は勝手に思っているけれ…

ジャンプに伝統的に存在する最終決戦用のロケ地をブリーチも使うようです

ジャンプ漫画には、ドラゴンボールを祖先に持ちながら、最近ではあの大人気漫画HUNTER×HUNTERでも使用された「選ばれし漫画」にしか使うことが許されない伝説のロケ地(たぶん借りるのに凄いお金がかかる。ロックスター的にいえば武道館)があるのです。今週…

日本語は亡びない

カナタで日本語教師を20年勤めている金谷武洋氏による、日本語論。おもに水村美苗氏による『日本語が亡びるとき』への反論として書かれている。僕は『日本語が亡びるとき』を読んでいないのであまり大きなことは言えないのですが、本書を読んでいると「日本…

横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力

横井軍平氏が、自分で作ってきたゲームを年代順に一つずつ製作秘話などを語っていくスタイルの本書。凄く面白かったです。何よりこういう「アイデア勝負」の業界人は、常に新しいアイデアが世間に受けるかどうかで結構神経過敏になっている例が、インタビュ…

翻訳夜話2 サリンジャー戦記

村上春樹と、柴田元幸が翻訳について語り倒す翻訳夜話2、今回は一冊丸々J.D.サリンジャーについて。これがやっぱり面白い。これはもう面白いですよ。「翻訳」をテーマに語っているわけですけれども、翻訳について語れば語るほど、問題は大きく広がりを見せて…

翻訳夜話/村上春樹 柴田元幸

翻訳家として第一線で訳し続けている二人の対談集。先日『考える人』の村上春樹インタビューを読んでいたら、本書のことが話題にのぼっていたのでついつい手が伸びてしまう。なにしろ二人とも大好きなもので。当然、大変面白く読んだ。考えてみれば、翻訳と…

突然失業してもこれさえ持っていれば生きていける!!──『ゼロから始める都市型狩猟採集生活/坂口恭平』

一点を除けば大変素晴らしい。文句をつけたい一点については後回しにして、素晴らしいのは本書を読むことによって「都市を見る目」が一変するところにあると思う。「都市型狩猟生活」というタイトルに違和感を覚える人も多いだろうけれど、その意図するとこ…

『考える人』の村上春樹ロングインタビューを読む

村上春樹へのインタビューの取材申し込み依頼のメイルへの返信に、村上春樹は「The author should be the last man to talk about his work」という言葉を引いたそうで。その言葉に沿う形で、このインタビューは村上春樹自身による自作の解説、というよりか…

『マルジナリアの妙薬/新城カズマ』

想像力を刺激させられる物語。ほんの数分で読み終えられるショートショートが12編入っているだけなので、手軽に読み終えることが出来ました。著者は『サマー/タイム/トラベラー』『蓬莱学園シリーズ』などの新城カズマ。内容はそのほとんどがメタ小説ですね…

地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?/久繁哲之介

地方の荒廃は最近よく話題にのぼる。地方活性化の為に多くの活動が行われていることも話題にのぼるけれども、どの程度成功しているかなどの実態は伝え聞いてくるだけではよくわからない。本書「地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?」を読めば…

街場のメディア論/内田樹

内田せんせーの新刊。今回はメディアの衰退を分析します。これがまた非常に面白い。僕たちの身の回りに溢れかえっているメディア、出版、テレビ、新聞、などなどは、溢れかえっているが故に私たちの行動、思考様式と密接に関係しています。メディアの不調は…

IT全盛の時代に忘れてはならないこと

「IT全盛の時代に忘れてはならないこと」なんて大層なタイトルをつけてお前はいったいどんな凄い大上段からの無知なお説教をかましてくれるつもりだこの野郎と誰もが思ったに違いないですが(誰よりも最初に僕が思った)ただ単に、久しぶりに読んだE.G.コン…

カオスの紡ぐ夢の中で/金子邦彦

大変面白く読んだ。本書が読者に与えるのは、「新しいものの見方」「考え方」などである。読み始める前と読み終えた時では、別の人間になっていること。僕はそれが名著の定義であると思っているけれど、その意味では本書はまさに名著と言うほかない。視点を…

人生は無意味だ──『人間の絆/モーム』

いやはや素晴らしい。初めてこの人間の絆が世の中に出たのが1950年だというので、すでに60年もの時間が経過したことになる。しかし、こういう古典的な名作には決まって聞かれるセリフだけど今読んでもまったく古い感じがしない。とても新しく感じるし、ここ…

本を読んだら散歩する

『読書について/ショウペンハウエル』を読んだ。内容を簡単にまとめてしまえば、「読んだことを鵜呑みにするな」「他人の意見を自分の意見にすり替えるな」という二つの事を言っているように思いました。印象的だったのが、この言葉。「本を読むというのは…