基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

オススメ!

老いゆくすべての人へ──『死すべき定め――死にゆく人に何ができるか』

死すべき定め――死にゆく人に何ができるか作者: アトゥール・ガワンデ,原井宏明出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2016/06/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの世には避けられぬことというのがいくつもあり、そのうちの一つは死である。今の…

まるで神話のように反響する傑作短篇集──『スキャナーに生きがいはない (人類補完機構全短篇1)』

スキャナーに生きがいはない (人類補完機構全短篇1)作者: コードウェイナー・スミス,伊藤典夫,浅倉久志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/03/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見るコードウェイナー・スミス作品に出会ったのはSFジャン…

犯罪者こそが誰よりも早くテクノロジーを実用化する──『フューチャー・クライム――サイバー犯罪からの完全防衛マニュアル』

フューチャー・クライム――サイバー犯罪からの完全防衛マニュアル作者: マーク・グッドマン,松浦俊輔出版社/メーカー: 青土社発売日: 2016/02/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見るテクノロジーの発展は個人に可能な領域を極端に増大させた。誰もが…

自由であるがゆえの孤独──『さようなら、ロビンソン・クルーソー (〈八世界〉全短編)』

さようなら、ロビンソン・クルーソー (〈八世界〉全短編2) (創元SF文庫)作者: ジョン・ヴァーリイ,浅倉久志,大野万紀出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/02/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見る『汝、コンピューターの夢 (〈八世界〉全…

無数の時間線が交錯する時の劇場──『デューン 砂の惑星』

デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (上) (ハヤカワ文庫SF)作者: フランクハーバート,酒井昭伸出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/01/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る現在SFマガジンで海外SFブックガイドの連載を担当している身として…

「新しい」視点での生命史──『生物はなぜ誕生したのか: 生命の起源と進化の最新科学』

生物はなぜ誕生したのか: 生命の起源と進化の最新科学作者: ピーターウォード,ジョゼフカーシュヴィンク,Peter Ward,Joseph Kirschvink,梶山あゆみ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/01/14メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るこれは…

ジェンダーと視点の描き方が面白い七冠SF──『叛逆航路』

叛逆航路 (創元SF文庫)作者: アン・レッキー,鈴木康士,渡邊利道,赤尾秀子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2015/11/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (8件) を見る英米7冠制覇のSFってきたらこれはまあ凄い。『ニューロマンサー』を超えたとか裏側…

なぜ宇宙は弱肉強食なのか──『天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと』

天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと (ハヤカワ文庫)作者: 小川一水出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/12/18メディア: 文庫この商品を含むブログ (9件) を見る※基本は読み終えた人用。読み終えていないヒトは下記を読むように。 huyukiitoich…

誰が正しく現実を見据えているのか──『神の水』

神の水 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者: パオロ・バチガルピ,中原尚哉出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/10/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見るパオロ・バチガルピが今年も長篇新刊を出したわけだが、そこでテーマに選ばれたのは水…

史上最悪の悪党になった男──『エンジェルメイカー』

エンジェルメイカー (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: ニックハーカウェイ,Nick Harkaway,黒原敏行出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/06/04メディア: 新書この商品を含むブログ (9件) を見る文字を読んでいてここまでの興奮が押し寄せることがある…

歓喜が疾走し心臓は語りだし世界は二万三千人に覆される──『ブロの道』

ブロの道: 氷三部作1 (氷三部作 1)作者: ウラジーミル・ソローキン,松下隆志出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/09/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る本書はロシアの小説家ウラジミール・ソローキンによる氷三部作のうちの第一部…

我々の日々の半分は地球の暗い部分で過ぎる──『失われた夜の歴史』

失われた夜の歴史作者: ロジャー・イーカーチ,樋口幸子,片柳佐智子,三宅真砂子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2015/01/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見るじっくりと考えてみるまでもなくこの世界において夜は──「半分」を占めて…

世界の動きを「読める」ようになり、人生を「意味づける」為に──『知的トレーニングの技術』

知的トレーニングの技術〔完全独習版〕 (ちくま学芸文庫)作者: 花村太郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/09/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る読書猿という有名な……何ブログなんだ? 知的向上心のある人間の為のブログ──とかいうと…

野望を抱きカオスと踊る──『ネオ・チャイナ:富、真実、心のよりどころを求める13億人の野望』

ネオ・チャイナ:富、真実、心のよりどころを求める13億人の野望作者: エヴァン・オズノス,笠井亮平出版社/メーカー: 白水社発売日: 2015/07/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見るいやーこれはもう完膚なきまでに面白かった。「ネオ・チャイナ」は…

太平洋戦争全史──『大日本帝国の興亡』 by ジョン・トーランド

大日本帝国の興亡〔新版〕1:暁のZ作戦 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)作者: ジョン・トーランド,John Toland,毎日新聞社出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/06/04メディア: 文庫この商品を含むブログを見る全5巻にわたって太平洋戦争の発端から結…

アレルギーはなぜ増えているのか──『失われてゆく、我々の内なる細菌』 by マーティン・J・ブレイザー

失われてゆく、我々の内なる細菌作者: マーティン・J・ブレイザー,山本太郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2015/07/02メディア: 単行本この商品を含むブログを見るツイッタを眺めていると時々「むかしはアレルギーの人間がいなかったのは……わかるな?」…

言語大戦──『月世界小説』 by 牧野修

月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)作者: 牧野修出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/07/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る小説とは言語で表現しうる何もかもを展開できる表現形式である。100億の軍勢がそこにはいたと書いただけでそこに100億…

紙の動物園 by ケン・リュウ

本書『紙の動物園』は中国生まれ、その後アメリカに移住しマイクロソフトに入社しハーヴァードのロースクールにいって卒業後弁護士へ。今はアプリ開発やらコンサルタント業をやりながら小説も書けば翻訳もするというマルチな才能の持ち主ケン・リュウによる…

S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ by レム・コールハース

普段、線をぐりぐりと引きながら本を読む。あとで引用しようと思うぐっときた部分に、結論部分に、問題提起の部分に。概ねあとから読み返した時に、そこを起点として他の細部をずるずると思い出せるように引いている。というわけで、本書もいつもと同じよう…

チャッピー by ニール・ブロムカンプ

チャッピーアーティスト: ハンス・ジマー出版社/メーカー: Rambling RECORDS発売日: 2015/05/20メディア: CDこの商品を含むブログを見るおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいいいいいい神映画かよおおおおおお…

マレ・サカチのたったひとつの贈物 by 王城夕紀

痺れたなあ……。『太陽・惑星』といいここ最近の日本SFの新人作家はハヤカワ創元以外からもとびきり先鋭的な作品を出してくる。『天盆』に続く二作目の作品である王城夕紀さんによる『マレ・サカチのたったひとつの贈物』は、ド直球のSFでありながらも我々の…

一本の槍──『声優魂 (星海社新書) 』by 大塚明夫

自分のやりたいことが明確に規定できている人間は圧倒的に強い。それはいってみれば覚悟がキマっているということだから。この道で生きていく、あるいは自分はこれをやる為に生まれてきたのだという強烈な「思い込み」。もちろんかみさまーが上から現れて「…

ささやかな英雄の物語──『ストーナー』 by ジョン・ウィリアムズ

生きるとはいろいろな側面を持つもので「最高に幸せな人生だ!」とか「不幸せなクソみたいな人生だ!」とか簡単には総括できるものではないんじゃないかとよく思う。もちろん、そう言えるにも様々な幸運にみまわれなければいけないことはさておいて……。自分…

独創短編シリーズ (野﨑まど劇場 && 野崎まど劇場(笑) ) (電撃文庫) by 野崎まど

諸君らはこんなブログを読んでいるぐらいだから「小説とはなにか」と聞かれたらせせら笑いながら「こいつ、小説もわからねえのか、カスが」ぐらいは言ってのける存在であると僕は考えているが、実際問題「小説とは、どこからどこまでのことを小説と呼称する…

みならいディーバという奇跡

この世は常に失敗を怖れない偉大な開拓者たちによって切り開かれてきた。一番乗りの開拓者には、そのリスクと引き換えにあるボーナスが与えられる。後続が洗練され、より優れたことをやる前のことなので、「たとえぐだぐだであっても、クォリティが低くても…

天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 by 小川一水

天冥の標第一部からここまで、撒かれてきた種がここに来て一斉に芽吹きはじめた──。天冥の標が出て最初に書かれた時系列までようやく辿り着き、別側面から描いてみせたPART1だが、「その先」が書かれるのがこのPART2になる。もはやことここに至ってネタバレ…

太陽・惑星 by 上田岳弘

世の中には「こいつは文章を、物語を書くために生まれてきたような人間だ」と思わせるような圧倒的な力を感じさせる作品を出してデビューする作家がいるが、久々にその感覚を味わった。唖然とするような発想。それをバカげた話で終わらせない説得力。最終的…

エネルギー問題入門―カリフォルニア大学バークレー校特別講義 by リチャード・A.ムラー

これは素晴らしかったなあ。タイトルこそエネルギー問題入門だが、原題はEnergy for Future Presidents で、一貫して「これを聞いているあなたが将来米国Presidentになった時どうしたらいいか」という問いかけによって進行していく。著者はUCバークレー物理…

ホット・ゾーン――「エボラ出血熱」制圧に命を懸けた人々 by リチャード・プレストン

1994年刊の物を、今回のエボラ流行にともなって復刊したもの。1976年から1993年にかけての主要なエボラ感染事例を扱ったノンフィクション本だ。エボラとはどのような性質を持つウイルスなのか、またエボラに対して人間がどのように発見し、どう対処し、どう…

未必のマクベス by 早瀬耕

徹夜小説という、面白すぎて徹夜してしまうような小説に対する呼び方がいつから出来たのかあいにくわからないが、僕は好きな本ほど徹夜したくないと思う。徹夜したくなるほど面白い小説であればこそ、集中力が落ちた状態で一読めを乗り切ってしまうことにも…