基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

オススメ!

独創短編シリーズ (野﨑まど劇場 && 野崎まど劇場(笑) ) (電撃文庫) by 野崎まど

諸君らはこんなブログを読んでいるぐらいだから「小説とはなにか」と聞かれたらせせら笑いながら「こいつ、小説もわからねえのか、カスが」ぐらいは言ってのける存在であると僕は考えているが、実際問題「小説とは、どこからどこまでのことを小説と呼称する…

みならいディーバという奇跡

この世は常に失敗を怖れない偉大な開拓者たちによって切り開かれてきた。一番乗りの開拓者には、そのリスクと引き換えにあるボーナスが与えられる。後続が洗練され、より優れたことをやる前のことなので、「たとえぐだぐだであっても、クォリティが低くても…

天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 by 小川一水

天冥の標第一部からここまで、撒かれてきた種がここに来て一斉に芽吹きはじめた──。天冥の標が出て最初に書かれた時系列までようやく辿り着き、別側面から描いてみせたPART1だが、「その先」が書かれるのがこのPART2になる。もはやことここに至ってネタバレ…

太陽・惑星 by 上田岳弘

世の中には「こいつは文章を、物語を書くために生まれてきたような人間だ」と思わせるような圧倒的な力を感じさせる作品を出してデビューする作家がいるが、久々にその感覚を味わった。唖然とするような発想。それをバカげた話で終わらせない説得力。最終的…

エネルギー問題入門―カリフォルニア大学バークレー校特別講義 by リチャード・A.ムラー

これは素晴らしかったなあ。タイトルこそエネルギー問題入門だが、原題はEnergy for Future Presidents で、一貫して「これを聞いているあなたが将来米国Presidentになった時どうしたらいいか」という問いかけによって進行していく。著者はUCバークレー物理…

ホット・ゾーン――「エボラ出血熱」制圧に命を懸けた人々 by リチャード・プレストン

1994年刊の物を、今回のエボラ流行にともなって復刊したもの。1976年から1993年にかけての主要なエボラ感染事例を扱ったノンフィクション本だ。エボラとはどのような性質を持つウイルスなのか、またエボラに対して人間がどのように発見し、どう対処し、どう…

未必のマクベス by 早瀬耕

徹夜小説という、面白すぎて徹夜してしまうような小説に対する呼び方がいつから出来たのかあいにくわからないが、僕は好きな本ほど徹夜したくないと思う。徹夜したくなるほど面白い小説であればこそ、集中力が落ちた状態で一読めを乗り切ってしまうことにも…

問題をどう解くか: 問題解決の理論 (ちくま学芸文庫 ウ 22-1) by ウェイン・ウィケルグレン

1980年に出ていたものがちくま学芸文庫にて最近文庫化されたので初読み。これは名著だ。たくさん「この人は頭の回転が速いなあ」と思う人にあってきたが、頭の良さにもいくつかのパターンがある。純粋に計算能力や記憶能力が良いといった地力が強いタイプ。…

RPF レッドドラゴン

TRPGの手法を用いて「最高のフィクション」を生み出すためのシステムなどといって出てきたロールプレイングフィクション(RPF)などというイマイチよくわからないものが最初このレッドドラゴンのウリ文句だった。それってようはTRPGのリプレイってだけでしょ…

人類は衰退しました by 田中ロミオ

ゆるふわな絵柄を身にまとい、起こる事件はどれも超常現象、超常テクノロジーに支えられめちゃくちゃな事態に発展し、語り手である少女は翻弄される。ただしあらゆる要素が軽い、ユーモアあふれる文体に包まれている。文体と絵柄によりかわいく、ゆるく包ん…

旅のラゴス (新潮文庫) by 筒井康隆

単純に筆者の力不足ゆえ内容に触れずにレビューすることが不可能だった為、下記の記述では内容に随分と遠慮なく、結末に至るまで触れています。注意してください。 うまく言葉にできないが、まるでひとつの人生を終えたようだ……というのが読み終えた人間が共…

侍という不思議な生き物『フォグ・ハイダ』 by 森博嗣

侍というのは不思議な生き物だとこの森博嗣さんによるヴォイド・シェイパシリーズを読んでいると思う。刀を持っている。刀の機能とは置物、芸術的価値を別にすれば、人を斬ることにある。人を斬る必要がある状況とは相手が自身にとって道を阻害するものであ…

オービタル・クラウド by 藤井太洋

Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫 JA フ 4-1) - 基本読書の著者藤井太洋さんによる第二長編がこの『オービタル・クラウド』になる。Gene Mapperの頃から何らプロと遜色ないレベルの小説を書き上げていた著者だがやはり全体を通してキャラクタの描き方…

残像に口紅を (中公文庫) by 筒井康隆

僕はこれを読み終えた時、結末へ向かっていくこの小説を読んで思わず泣いてしまったのだ。それはストーリーが感動的だったからではなく、ただただその凄まじい内容に圧倒されて泣いたのだ。こんな内容があっていいのかと。こんな表現があっていいのかと。想…

深紅の碑文 by 上田早夕里

異様な、というのが全体を通して読み終えた時の第一印象だった。華竜の宮 - 基本読書 の続編にあたる本作だが、いずれ必ず訪れる溶岩噴出による成層圏までばらまかれる粉塵によって太陽が届かなくなる地球という「終末」に向かいつつある人類の、右往左往、…

世界はたくさんのみんなでできているんだよ『成恵の世界』 by 丸川トモヒロ

1999年から連載が始まり、2013年2月号でついに連載が完了した。全13巻である。ぎりぎりになってしまったが、完結年に紹介できてよかった。素晴らしい青春SF活劇コメディであり、13年の時の流れを経て、なお古びれることのない傑作漫画だった…

全ての力を尽くして天冥の標シリーズをオススメする

全ての力を尽くして天冥の標シリーズをオススメする - 基本読書 初出2013/01/31に書いたものの第七部追加verになります。2013/12/21この世にはたくさんの感動がある。山登りをする人間には、山を登っている時の空気の味、一歩一歩踏みしめていく時の感触とい…

天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫 JA オ 6-21) by 小川一水

『残存人類』帯に書かれたこの四文字。これだ。このぞっとするような言葉の響きを得るために、たった四文字を自分の中でたとえられない興奮に変換させるために僕はSFを読んでいるのだ。「残存人類」。それはSFでしか出てこない言葉だ。残存は使われるだ…

映画『ゼロ・グラビティ』

やられた。視覚的に、ノックダウンされた。一時間半、食い入るように世界に入り込んでいた。映画が終わった時、自分の周囲に重力が戻ってきた感覚があった。ここに重力があって、自分の足が地面を踏みしめていることが、何不自由なく行えるのだという単純な…

ハドリアヌス帝の回想 by マルグリット・ユルスナール

大震災が起こった時に、だれもそれを「たいしたことなかったね」という人がいないように、芸術のような価値判断の決まったものさしが存在しない分野でも、誰もが足を止め隅々まで制御の行き届いた、それでいて常に想像の範囲外に逸脱しつづけていくような、…

新訂 福翁自伝 (岩波文庫) by 福沢諭吉

これはもうべらぼうに面白い一冊で古びれるどころか当時(福沢諭吉時代)の雰囲気が外部にいる知識人といった主流派から離れた立場からみられて(維新だなんだの言っている奴は馬鹿だし、幕府も引きこもりばかりで馬鹿ばっかりだ!!)たいへんおもしろいの…

マリアビートル (角川文庫) by 伊坂幸太郎

「あのさ」真莉亜がほとほと呆れた声を出した。「何がどうなっているのか分からないけどさ、どういう新幹線なの。トラブルばっかりじゃない。」 これは…………素晴らしかった!! いろんなところで偶然が左右し、プロット的にもサービスなのかなんなのか、おさ…

最高の効率で、最高の金儲けを『WORLD END ECONOMiCA』 by Spicy Tails

ぐあー最高に素晴らしい物語だった。終わった後の余韻も冷めやらずすぐさまこれを書いている。『WORLD END ECONOMiCA』は狼と香辛料などで知られる支倉凍砂氏シナリオによるサークルSpicy Tailsによる同人ゲーム(だけどAmazonで買える)で、月を舞台にした…

謎の独立国家ソマリランド by 高野秀行

これはもうちょーーーー面白くて読んでいる間何度もげらげら笑い、驚き、そして最後には笑いながら泣いた。無政府状態が続き海賊が跋扈し「リアル北斗の拳」状態と噂されている崩壊国家の北に、十数年も平和を維持しさらには「まっとうな」民主主義を行なっ…

メディア × 政治『大日本サムライガール』 by 至道流星

かつてマクロスの河森正治監督はインタビューの中で異質なもの同士を掛け合わせることで、未知のものが生まれていくと語った。⇒空を「青以外」で塗らせるのは意外に難しい:日経ビジネスオンライン また有名な『アイデアのつくり方』という本ではアイデア作…

マージナル・オペレーション

これは予想外の出会い。日本の30歳ニートが民間軍事会社に入ってその才能を開花させるという一文ぐらいの情報は知っていてどこかのタイミングで読みたいと思っていた。いっぽう、それは飛び道具すぎないか? というのと主人公が強い系のライトノベルの流れ…

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)

初出は1972年で、増補版が2009年に出ている名著なのだが、いまさら読んだ。そして、めちゃくちゃ面白い! 日銀に長らく努めていた服部さんがアフリカ中央の小国ルワンダの中央銀行総裁にODAの一環で送られたあとの6年間が語られているのだが、日銀…

最適な中間を探す旅『インフォメーション: 情報技術の人類史』

500ページを超えるなかなかの大著だが、それだけの価値はある。情報なんてそこらへんにありふれているもので、すごく身近な存在というものですが実際に「情報ってなんなの」ってことを厳密に説明してくださいと言われると難しいことに気がつくわけです。…

山賊ダイアリー

休日の午前中、なんとなくコーヒーでも飲みながらこれからの活動に備えてまったり漫画でも読もうかと思ってKindleで『山賊ダイアリー』を購入。*1こうやって即座に買って読み始められるのは読み手にとっては素晴らしい。衝動買いが増えて本代がかさむけれど…

This is a comedy,not a tragedy『All Clear』Connie Willis

い、いかんかった。信じられないぐらい面白かった。もどってくるのが困難なほど引きこまれ、世界に没入して、最後の10%は涙が枯れ果てんばかりに泣きはらした。ありとあらゆる物語がこの世の中にはあるけれど、ここまで長大な物語にも関わらず、読者を飽き…

はじめにコマンド・ラインがあった『チューリングの大聖堂: コンピュータの創造とデジタル世界の到来』

チューリングの大聖堂 上: コンピュータの創造とデジタル世界の到来 (ハヤカワ文庫 NF 491)作者: ジョージ・ダイソン,吉田三知世出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/03/09メディア: 新書この商品を含むブログを見るチューリングの大聖堂 下: コンピュー…

『国際秩序 - 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ (中公新書)』細谷雄一

すごく良い本。ニュース情報を聞いているだけだとついつい日中関係や日米関係、日韓関係といった二者関係を前提に全てを捉えてしまう中、国際秩序を面として捉え、乱立する大国間でどう秩序が保たれてきたか、表向きの条約や協定、その背後で動いている論理…

羽月莉音の帝国

見たこともない風景、考えたこともない状況、加速度的にスケールアップしていく物語の規模、まったく想像の埒外にあるものの、現実に存在するルールにはのっとっている破天荒なアイディアの数々。全十巻の『羽月莉音の帝国』がみせてくれたのは、そうした『…

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

先日⇒古賀史健『20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)』 - 基本読書 この本について書いたけれど、せっかくだからオススメの文章本である『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』を紹介しようと思う。主にコンサルタントや、報…

中谷 宇吉郎『科学の方法 (岩波新書 青版 313)』

50年以上前に書かれたものとは思えない、今でも色褪せない「科学の方法」について。今年読んだノンフィクションの中では最も感銘を受けた一冊。それ故にかなりの力を入れて紹介しようかとも思ったのだけど、既に本書を下敷きにして2つのエントリを書いて…

真木悠介『時間の比較社会学 (岩波現代文庫)』

普段僕らは時間に対してもっと有意義に過ごせるのではないかと思い、時間が過ぎ去っていくのをみながら何もしなかったことを後悔し、さらには自分が死んだ後もずっと世界は進んでいくのだと想像して、自分の人生が広い大海のほんの一部分でしかない、自分が…

自由論 (光文社古典新訳文庫)

タグに古典を読むシリーズをつけました。森博嗣作品には結構な割合で各章冒頭に引用がされているのですが、その引用本をちまちまと読んでいこうという心づもりです。まあ、その流れで気になったものがあれば派生で読んでいこうかなってところで。けっこうみ…

獣の奏者

先日(といっても二ヶ月ほど前だが)上橋菜穂子さんの『獣の奏者』が講談社文庫として4冊すべて出揃った。素晴らしい表紙で本屋に最初の2冊が並んでいた時から読みたかった。ついにこうして4冊揃い。読んでみたのである。ひとことで言えば、素晴らしいファ…

BEATLESS

『BEATLESS』を読んだ。円環少女やあなたのための物語といった、ライトノベルとSF、ジャンルを超えて活躍している長谷敏司さんの最新作だ。僕が長谷敏司さんの作品で読んだことがあるのは例にあげた2作品のみだが、どちらも技巧的かつ、エンターテイメン…

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

仕事をしている人と、これから仕事をしようと思っている人は読んでいると少なからずいいことがある本だと思う。本書は副題からも分かる通り「2025年の未来の働き方はどうなっているだろう」についての本なのだが、何しろ今の仕事観というのは世代ごとに…

マルドゥック・ヴェロシティ

麻薬中毒に陥り敵と味方の区別がつかなくなった状態で友軍への誤爆という罪を犯す/消えないトラウマ/同時に存在する爆撃のエクスタシーに悩まされる虚無の男=ディムズデイル=ボイルド。どんなものにでも変身できる万能兵器として生み出され、その上意識まで…

光圀伝:史書は人に何を与えてくれるのか?

すごすぎる。元々とんでもない作家だったけれども、もう底が知れない。冗談じゃなく読んでいて手が震えて本を落としそうになったよ……。小説を読んでいてよかったと思うのはこういう時だ。たった一人の才能が創り上げる、奇跡の塊のような作品に触れるとき。…

天冥の標6 宿怨 PART 2:小川一水は人間が想像したことのない世界へ走り出してしまった

今、滅茶苦茶に広い宇宙のどこかで、人間が死んだり生きたりしている間もまるで関係をもたず、予想もつかない形で展開を続ける意識体が存在していたら──そしてそれが我々の太陽系にやってきて全く異なるそれぞれの目的を果たし始めたら、それに人間が巻き込…

ダーク・スター・サファリ ―― カイロからケープタウンへ、アフリカ縦断の旅

本書は作家のポール・セローがアフリカをカイロからケープタウンまで、飛行機を使わずにバスと鉄道を駆使して横断する旅行記なのだが、その密度に圧倒された。観光ツアーなどで安全な道、安全な食べ物、計画されつくしたパッケージングされた「なんちゃって…

ぼくらは都市を愛していた

『僕らは都市を愛していた』ここが神林長平の最前線───、新たな世界の、創造の物語なんだ。神林長平は常に世界の創造を書いきた。ここにあるのは未来の世界だ。先日神林長平先生による本書の刊行記念トークイベントに行ってきた⇒神林長平「ぼくらは都市を愛…

貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える

非常に面白い一冊。読んでいて貧困問題に対しての当たり前だと思い込んでいた考え方がいくつも変更されたし、そもそも「問題の根っこがどこにあるのか」という本質を改めて問いなおした点が良い。言うまでもなく問題の根っこは現実に根ざしており、著者らの…

天冥の標6 宿怨 PART1

宿怨とはまた物騒なタイトル。でも納得。これは確かに宿怨だわ。小川一水先生が始めたこの天冥の標シリーズもこれですでに第六巻……、今までの作品はどれも途中から読んでも、1テーマでぶっとくまとまっていて単発モノとしても読めるスグレモノだったが、今…

ブラッド・スクーパ - The Blood Scooper

素晴らしい。森博嗣著、ヴォイド・シェイパという侍が強さとかを考えながら旅をする前作からの続編。何シリーズと呼称されているのかは知らないが、シリーズものの第二作。本来三作で終わる予定だったが、全五作になったようだ。ソースは知らない。Twitterで…

ぼくらのよあけ

すごすぎる。傑作だ。不時着した地球外生命体と、小学生たちがコンタクトをとり、秘密を持ち、宇宙に返してやる。最も簡単なあらすじはこのように一行で表現できるものであるし、これだけ聞けばありふれた筋であると言える。しかし、筋の新規さ=話の面白さ…

唯脳論

この本は……すごい。この世は夢かうつつかを高校生みたいに考えてみた - 続・はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記⇐これを読んで、読んでみたのだけど、これはすごい本なのだ。なにがそんなにすごいのか。風呂敷がでかいんだ。我々ヒトはここ数万年…