基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

オススメ!

ただただ美しいゲーム──『ELDEN RING』

【PS4】ELDEN RINGフロムソフトウェアAmazon『ELDEN RING』をクリアした。すべてのボスを倒したり、何周もしたりしたわけではないが(本作には周回要素が存在する)、とにかくラスボスを倒しエンディングが流れた。文句がないわけではないが、素晴らしいゲーム…

仕事が行き渡らない世界がやってきたら、我々はどうやって生きていけばいいのか?──『WORLD WITHOUT WORK――AI時代の新「大きな政府」論』

WORLD WITHOUT WORK――AI時代の新「大きな政府」論作者:ダニエル・サスキンドみすず書房Amazon近年、AIなどのテクノロジーの進歩は、人間から仕事を奪う。いや歴史が証明しているようにテクノロジーの進歩は新しい仕事を作り出すから人は新しい仕事へと移るだ…

弾圧が行われているとされる新疆ウイグル自治区で、実際に何が行われているのか?──『AI監獄ウイグル』

AI監獄ウイグル作者:ジェフリー・ケイン新潮社Amazonこの『AI監獄ウイグル』は、近年弾圧が激しくなっているとされるウイグルで、実際に何が行われているのか、150人以上のウイグル人の難民、技術労働者、政府関係者、元中国人スパイにインタビュー取材…

2020年の読むべき日本SF短篇が一冊であらかたカバーできる、竹書房文庫の年刊日本SF傑作選!──『ベストSF2021』

ベストSF2021 (竹書房文庫, お6-2) (竹書房文庫 お 6-2)作者:大森 望竹書房Amazon2020年に発表された日本SF短篇の中から、大森望が傑作をよりすぐったのがこの竹書房から刊行されたアンソロジー『ベストSF2021』である。2019年作品版の『ベストSF2020』が202…

mRNAワクチンを接種した人全員に読んでもらいたい、ワクチン開発の奮闘を描き出す一気読み必至のノンフィクション──『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』

mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来作者:ジョー ミラー,エズレム テュレジ,ウール シャヒン早川書房Amazon日本政府によると、日本の新型コロナウイルスワクチン接種回数は1億9800万回、2回の接種を完了した人は総人口の77%と数字が出ているが、…

砂漠の美しさ、サンドワームの神話的な恐ろしさを見事に表現してみせた傑作映画──『DUNE/デューン 砂の惑星』

『DUNE/デューン 砂の惑星』公開時にIGN japanに寄稿した映画reviewを、年末ですし、Amazonでも買えるようになっているのでブログ用に編集して投稿してます。おもしろいので観てね。DUNE/デューン 砂の惑星(字幕版)ティモシー・シャラメAmazon はじめに ドゥ…

『火星の人』の著者最新作にして、宇宙SF&宇宙生物学SFの傑作長篇──『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上作者:アンディ ウィアー早川書房Amazonこの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、火星に一人取り残されてしまった男の決死のサバイブを描くハード・宇宙開発SF『火星の人』でデビュー&大ヒットした、(リドリー・スコッ…

『三体』の劉慈欣による本邦初の短篇集、劉慈欣は長篇だけでなく短篇もおもしろい!──『円』

円 劉慈欣短篇集作者:劉 慈欣早川書房Amazonこの『円 劉慈欣短篇集』は、『三体』の著者劉慈欣による本邦初の短篇集である。中国での短篇集の翻訳かと思ったら、作品選択は原著者側によるもので、どのような意図があるのか訳者にもわかっていないらしい。た…

テロと感染病の蔓延により、リアルに接触する機会が激減した未来を予言的に描き出したネビュラ賞受賞作──『新しい時代への歌』

新しい時代への歌 (竹書房文庫)作者:サラ・ピンスカー竹書房Amazonこの『新しい時代への歌』は、本邦では初紹介となる作家サラ・ピンスカーの長篇にして2020年度のネビュラ賞受賞作である。本作、日本でこうして邦訳作が刊行されるまえからすでにかなりの話…

数千年におよぶ進化と文明の発展を重ねた蜘蛛と人類の邂逅が描かれる、進化のダイナミズムが詰め込まれたSF長篇──『時の子供たち』

時の子供たち (上) (竹書房文庫 ち 1-1)作者:エイドリアン・チャイコフスキー竹書房Amazonこの『時の子供たち』は、イギリスの作家エイドリアン・チャイコフスキーのSF長篇である。刊行は2015年で、2016年にアーサー・C・クラーク賞を受賞している。それ以上…

動物の言葉を話す男と古代のおとぎ話を忘れた近代社会が対立する、エストニア発の傑作ファンタジィ──『蛇の言葉を話した男』

蛇の言葉を話した男作者:アンドルス・キヴィラフク河出書房新社Amazonこの『蛇の言葉を話した男』は、エストニアで歴代トップ10に入るベストセラーに入り、フランス語版も大ヒットして14ヶ国語に翻訳されたファンタジィ長篇である。帯には、『これがどんな本…

世界2900万部超えの怪物中国SF三部作、ついに完結──『三体』

三体Ⅲ 死神永生 上作者:劉 慈欣早川書房AmazonSFとしてはこの10年で最大の話題作である、作家劉慈欣による『三体』。その三部作が、先日刊行されたばかりの『三体III 死神永生』(ししんえいせい)でついに完結!中国本国で大いに盛り上がり、その後ケン・リュ…

数万の兵力に匹敵する能力者同士が世界の覇権をめぐってしのぎを削る、てんこもりのファンタジー能力者戦記!──『隷王戦記1 フルースィーヤの血盟』

隷王戦記1 フルースィーヤの血盟 (ハヤカワ文庫 JA モ 7-1)作者:森山光太郎発売日: 2021/03/17メディア: 文庫この『隷王戦記』は、時代小説大賞を2018年に『火神子 天孫に抗いし者』で受賞しその後メディアワークス文庫だったり朝日新聞出版だったりとぽんぽ…

映像だけではなく文章に関わる人にもおすすめしたい、「編集」の難しさと楽しさについての絶品!──『映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術』

映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術作者:スティーヴ・ハルフィッシュ発売日: 2021/01/21メディア: 単行本『映像編集の技法』は映像編集技師であるスティーヴ・ハルフィッシュが、スターウォーズにシビル・ウォーなど大作映画から『ブレイキ…

この10年で最高のロシアSFと言われる傑作終末SF──『サハリン島』

サハリン島作者:エドゥアルド・ヴェルキン発売日: 2020/12/22メディア: 単行本このエドゥアルド・ヴェルキン『サハリン島』は、ロシアのメディアで、この10年で最高のロシアSFと評されているSF長篇である。「この10年で最高」というのは、気軽に使うにはリス…

サイバーパンクのすべてが内包されているかのような傑作──『サイバーパンク2077』

【PS4】サイバーパンク2077発売日: 2020/12/10メディア: Video Game『サイバーパンク2077』が発売された。もう何年待ったことか。幾度もの延期を繰り返し、ようやくマスターアップしたかと思いきやまさかのそこから再度の延期を繰り返し、と出る前から話題沸…

韓国の注目作家が紡ぐ、科学的でエモーショナルな絶品SF短篇集──『わたしたちが光の速さで進めないなら』

わたしたちが光の速さで進めないなら作者:キム・チョヨプ発売日: 2020/12/03メディア: 単行本(ソフトカバー)2020年は10年の区切りということもあって素晴らしいSF短篇アンソロジーが多数刊行され、SF短篇集も豊作だったのだけどここにきてまた凄いSF短篇集…

ゼロ年代の海外SFの様相がわかる、危なげなく傑作揃いのアンソロジー──『2000年代海外SF傑作選』

2000年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)作者:エレン クレイジャズ,ハンヌ ライアニエミ,ダリル グレゴリイ,劉 慈欣,コリイ ドクトロウ,チャールズ ストロス,N・K ジェミシン,グレッグ イーガン,アレステア レナルズ発売日: 2020/11/19メディア: 文庫この『20…

政府に頼らず、社会から隔絶したモルモン教原理主義者の世界観から、いかにして抜け出したのか──『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』

エデュケーション 大学は私の人生を変えた作者:タラ ウェストーバー発売日: 2020/11/17メディア: 単行本(ソフトカバー)この『エデュケーション』(原題:Educated A Memoir)は、モルモン教原理主義者で、政府や病院といった公的な機関に一切頼らない父と母に…

究極の雰囲気ゲー、傑作サイバーパンクゲーム──『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action』

store.steampowered.com IGN Japanから原稿依頼があり今度サイバーパンクについての大きめのコラムを書く予定があるので、昔やった『VA-11 Hall-A』を思い出すためにプレイし直していたんだけど、これがおもしろいよなあ。尋常ではないぐらいに「ノベルゲー…

老化は治療可能な病気である──『LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界』

LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界作者:デビッド・A・シンクレア,マシュー・D・ラプラント発売日: 2020/09/16メディア: 単行本この『LIFESPAN』は、老化の原因と若返りに関する研究者/長寿研究の世界的権威であり、同分野で50件に及ぶ特許を取得し10以…

フランケンシュタインからジキル博士にモロー博士、ホームズまでが混交するごった煮エンタメの傑作!──『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』

メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:シオドラ ゴス発売日: 2020/07/16メディア: Kindle版この『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』はアメリカ在住作家のシオドラ・ゴスによる第一長篇に…

あの『三体』の続篇がついにきた! すべてのスケールがアップし、人類の命運をかけた”終末決戦”が描かれる超傑作!──『三体Ⅱ 黒暗森林』

三体Ⅱ 黒暗森林(上)作者:劉 慈欣発売日: 2020/06/18メディア: Kindle版ほとんどの日本人にとって馴染みのない「中国の小説」そして「SF」であるにも関わらず刊行当初から飛ぶように売れ、13万部も突破した劉慈欣による中国のSF三部作『三体』! 本作『三…

なぜ経済学者は信用されないのか?──『絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか』

絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか (日本経済新聞出版)作者:アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ発売日: 2020/04/17メディア: Kindle版2019年にノーベル経済学賞を受賞したバナジー・アビジット・Vとデュフロ・エステルによ…

「スゴ本」を読みたいのであればまずこれを読めと手渡せる、スゴ本の人のスゴ本──『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』

わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる作者:Dain発売日: 2020/04/30メディア: Kindle版スゴ本の人のスゴ本が出た。日本の書評ブログ最大手である「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」の書き手Dainさんの初の著書である。D…

人生を確率を通してみる、今年ベスト級の科学ノンフィクション!──『もうダメかも──死ぬ確率の統計学』

もうダメかも作者:マイケル・ブラストランド,デイヴィッド・シュピーゲルハルター発売日: 2020/04/13メディア: 単行本我々はウルトラマンに守られているわけではないのだから、死ぬときがきたら死ぬしかない。その事実は多くの人が認識しているだろう。が、…

ケン・リュウによって集められた、量も多様性も増した至極の中国SF作家&短篇勢揃い──『月の光 現代中国SFアンソロジー』

月の光 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:劉 慈欣発売日: 2020/03/18メディア: 新書この『月の光』は、ケン・リュウによって集められた、中国の精鋭SF作家らによるアンソロジー『折りたたみ北京』に続く中国SFアンソロジー第二弾であ…

未来を考えるうえでもっとも重要な「世界人口の減少」というテーマ──『2050年 世界人口大減少』

2050年 世界人口大減少作者:ダリル・ブリッカー,ジョン・イビットソン発売日: 2020/02/24メディア: 単行本数十年後の世界人口がどうなっているのかというのは、最重要のトピックだ。何しろ、環境問題の悪化も、経済の状況も、文化も、都市化も、今世界で問題…

『三体』の劉慈欣が「近未来SF小説の頂点」とまで言った、ページをめくる手が止まらない圧巻の中国SF──『荒潮』

荒潮 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:陳 楸帆発売日: 2020/01/23メディア: 新書この『荒潮』は中国のSF作家を代表する一人と言われる陳楸帆による初の(そして今のところ唯一の)長篇SF小説である。陳楸帆の小説は、日本でも刊行された現代中国SFアン…

『暴力の人類史』のピンカーが語る、理性と共感によって未来がより豊かになっていく根拠──『21世紀の啓蒙:理性、科学、ヒューマニズム、進歩』

21世紀の啓蒙 上: 理性、科学、ヒューマニズム、進歩作者:スティーブン ピンカー出版社/メーカー: 草思社発売日: 2019/12/18メディア: 単行本この『21世紀の啓蒙』は、『暴力の人類史』で一躍その名を轟かせたスティーヴン・ピンカーによる啓蒙の啓蒙の書で…